多忙を極める平日はバラバラの生活。週末は“お金をかけて”親子の思い出づくり。そんなとき、子供がつぶやいた言葉で意を決する――。
▼賀川家のレッドカード月間家計簿[年収:750万円]
家族構成●本人(39歳・労務コンサルタント)、長男(7歳)
年収●額面=790万円(現在は620万円)/手取り=654万円(現在は496万円)
月収●手取り=54.5万円 ボーナス●なし 貯蓄額●250万円

労務コンサルタントとしてバリバリ働く賀川さん。小学校に入学したばかりの子を持つシングルマザーでもある。お金のことで子供につらい思いはさせたくないという気持ちは人一倍強かった。

そのためか、仕事で多忙を極める平日は、子供に夕食代として毎日千円札を渡していた。そして週末は、子供と旅行へ出かけるなど、“お金をかけて”親子の思い出づくりに励んだ。

これらが家計を圧迫したのは当然として、“稼ぐ”という思いが強すぎるあまり、仕事を頑張りすぎたことも家計のマイナス要因となってしまった。仕事や育児の疲れを癒やしたいがための鍼灸・整体・マッサージ代、仕事のつきあいのためと正当化してのゴルフ用品代、ストレス発散のための洋服購入費や美容代など、いささか浪費ぎみとなり、結果、毎月3万円ほどの赤字となったのである。

賀川さんの場合、月給以外にボーナスが出るわけではないので、これは厳しい。そんなとき、最愛の子供がポツリとつぶやいた。

「旅行とか、お出かけするのもいいけど、もうちょっとママが家にいてくれるといいな」

なんともショッキングな言葉だった。たしかに子供にとっていちばん重要なのは、母親はじめ身近な人と接し、その愛情を肌で感じること。お金をかけて何かをするということではないはずだ。

賀川さんは意を決して勤務先に、残業が少ない業務への担当替えを申し出て、幸いにもこれが受け入れられた。

また、これまで近所にいるのに意地を張って実家の協力は求めてこなかったが、実家へ月3万円払うことで、仕事が終わるまでの時間は、子供を預かってもらうことにした。今では、賀川さんの残業が減ったこともあり、夕飯は実家で、3世代でとることも多い。収入は減っても、家計は改善。そして、家族間のふれあいが増えたことは、なにものにも代えがたい。

家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。庶民派ファイナンシャル・プランナーとして、8000人以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズなどベストセラー多数。
(構成=小澤啓司)
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