毎月の赤字額10万円超だったダメ家計も8万円超の黒字に大改造! 家計再生のプロ・横山光昭さんが、実際にあったダメ家計簿10件の改造例をもとに、今すぐ取り入れられる家計再生アイデアの数々を伝授する。
家族構成●夫(42歳・電子部品メーカー勤務)、妻(45歳・パート)、長男(12歳)、長女(11歳)
年収●額面=720万円/手取り=619万円 月収●手取り=夫32.6万円、妻11万円
ボーナス●夏=48万円/冬=48万円 貯蓄額●20万円
営業マンなら顧客の接待や外での打ち合わせはつきもの。だが、「仕事のための出費なのだから、会社が支払うのは当然」というのも今は昔。会社から経費として認められたり認められなかったり。しかも、明確な線引きがあるわけでもない。そんなことが続けば、経費精算の申請をすることすら煩わしい。行き着く先は、「自腹で接待」である。
接待攻撃で売り上げを伸ばしてきた倉持さんもそんな一人。はじめは自分の小遣いから資金を捻出していたが、それでは足りずクレジットカードの利用が増え、リボ払いも使い始めた。それでも、まだまだ増える支出を補うには、大口のカードローンに手を出すしかなかったのだという。
最初の相談時の借金総額は320万円。放っておけばその何倍にも膨れ上がっていた可能性がある。「節約して仕事のやり方を改めては?」など、さまざまな対処法を提案した中で、倉持さんが選択したのは任意整理という形での債務整理だった。
債務整理というと、「自己破産」を思い浮かべる人が多いが、それだけでなく「任意整理」「特定調停」「個人再生」などさまざまな方法がある。任意整理の場合、破産者になるわけではないので、資産を手放す必要はない。
また、借りたお金は返すのが前提だ。ただし返済額は、金利分の負担が減ったり、場合によっては過去の過払い分が考慮されたりするので、負担が軽減される。倉持さんの場合、月々8万6000円だった返済額が、4万4000円まで減った。これを5年間支払えば、借金はゼロになる。
任意整理のデメリットもある。一定期間、新たにカードを作ったりローンが組めなくなるなどの制約が生じるのだ。ただ、それはむしろ家計の健全化を目指すうえでは好都合だろう。なにより、倉持さんの表情が明るく元気になったことは、家計にとって大きなプラス材料となるはずだ。
マイエフピー代表取締役社長。庶民派ファイナンシャル・プランナーとして、8000人以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズなどベストセラー多数。