世代を超えて愛される「ガンダムシリーズ」を手掛けるバンダイナムコ。漫画家の弘兼憲史氏が、同社の「キャラクター中心の企業戦略」について、石川祝男会長に聞いた――。
【弘兼】案内放送から係員の制服まで、すべてがガンダム一色。ファンにはたまらないでしょう。ここに連れてきたら大喜びする友人が何人も思い浮かびました。オフィシャルショップでおみやげの「ガンプラ」を買ったところです。
【石川】ありがとうございます。
【弘兼】入り口には大量のガンプラが展示されていました。種類がすごい。
【石川】1000体以上ありますね。私には到底把握しきれません。
今回の対談は東京・お台場の「ガンダムフロント東京」で行われた。ここではアニメ「機動戦士ガンダム」の世界が忠実に再現されている。テレビ放送の開始は1979年。画期的なデザインのロボットたちが子どもを惹きつける一方で、勧善懲悪ではない奥行きのあるストーリーが大人を唸らせ、世代を超えて多くのファンを獲得してきた。放送の翌年に発売された「ガンプラ」、可愛らしくデフォルメされた「SDガンダム」などの商品展開も人気を加速させた。
【弘兼】ガンダムの人気は根強いですね。バンダイナムコの売上高を商品別にみると、昨年大ヒットした「妖怪ウォッチ」の売り上げは552億円ですが、ガンダム関連の売り上げは767億円で最も多い。しかも毎年売り上げが増え続けている。
【石川】長く愛され続けるためには、小さい頃に好きになってもらえるかどうかにかかっています。
【弘兼】ガンダムに夢中になった子どもは、大人になってもファンであり続けると。
【石川】そうです。そのうえで年齢層を広げていくことも重要です。2015年から始まった新シリーズ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」は、10代から20代前半をターゲットにしています。子どもと一緒に、あるいは孫と一緒にガンダムを楽しんでもらいたい。2世代、3世代を狙った展開を意識しています。
【弘兼】バンダイナムコHDの14年度の連結業績は売上高、営業利益ともに過去最高でした。少子化が進むなかでこの数字をたたき出した。
【石川】少子化は深刻な問題で、いずれボディーブローのように経営に響くかもしれません。ただ、おもちゃは生活必需品ではありませんから、少子化が直接影響するわけでもない。