静かに燃える「世界平和」への思い
FC今治の経営にしろ、日本協会の運営にしろ、岡田副会長の根っこには確かな理念がある。活動の動機付けを聞かれると、FC今治の企業理念を持ち出した。
「それは、“次世代のため、物の豊かさより、心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する”なんです。ぼくの活動のすべての根源がそこにあります」
岡田副会長はまた、いまの社会に苦言を呈し、倉本聰さんとやっていた富良野自然塾の石碑に刻んだ『地球は子孫から借りているもの』という北米先住民族に語り継がれている言葉を口にした。
「副会長を引き受けたのも、いろんなことに貢献できるからです。(副会長の)もうひとつの仕事として、若い人が活躍できる場にして、くさいかもしれませんが、(日本協会が)世界平和に貢献できるような組織になっていければいいなと思っています」
ちっともくさいことはない。世界平和の建設に寄与すること。これはオリンピック・ムーブメントの定義であり、スポーツ界や競技団体にとっての一番の使命でもある。
松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。