エンブレム選定は4月末に
桜の満開と同様、ようやく2020年東京五輪・パラリンピックの新しいエンブレムの最終候補作品が公表されることになりそうだ。白紙撤回から7カ月。3月28日の月曜日。大会組織委員会・エンブレム委員会の宮田亮平委員長(東京芸大学長)はのんびりした口調でこう、漏らした。
「ちょっとここにきて寒くなったものだから、桜がねえ、咲く時期が少しずれたんで、半分ホッとしているのと、半分“こりゃ大変だな”“もうちょっとがんばらなきゃ”というのが、両方入り混じっております」
昨年12月、仕切り直しのエンブレムの公募には、約1万5000点もの作品が集まった。エンブレム委員会で選考を重ねて最終候補4作品に絞り込み、現在、国内外の商標調査が実施されている。これほど慎重なのはもちろん、前回の反省を踏まえ、「不適切な選定」といった批判や「盗作」「模倣」の疑念を避けるためである。
商標調査の進捗具合を知っているからだろう、エンブレム委員会は最終候補作品を4月8日の金曜日をめどに公開し、4月末の最終審査で新しいエンブレムを選ぶことを決めた。宮田委員長はこう、説明した。
「複数の候補作品を公表した後、国民のみなさまから意見をいただく“国民参画”を実施した上で、エンブレム委員会による最終審査を行います」
これまた、専門家だけで閉鎖的だった前回選定の反省を踏まえ、公表して意見を集めるのは、多くの人に参画してもらい、納得してもらうためである。「多くの人に愛される五輪エンブレム」とはいえ、国民全員の支持を受けることなどあり得ない。むしろ、公表の狙いは、決定の前にウェブ世論で「先行する作品に似ているものがあるかどうか」のチェックをしておくことではないか。