「選挙結果は台湾の民意の表れであり、中華民国が1つの民主国家であり、2300万の台湾人が共に堅持するものだ」。蔡英文氏は圧勝した総統選後、有権者と国内外メディアの前でこう言明。新しい表現を用いて、台湾の「国家アイデンティティ」を宣言した。中台関係は現状維持を表明して中国に配慮する一方、「私たちの民主制度、国家アイデンティティに対するいかなる攻撃も、両岸関係の安定を破壊するものと認識する」と牽制も忘れない。
次期台湾総統 蔡 英文(AFLO=写真)
独身で、今年還暦とは思えない若々しさとバイタリティをもつ。4年前の総統選で敗北したとき「泣いてもいいがあきらめてはいけない」と支持者を励ました。努力をあきらめない不屈の闘志を、お嬢様然とした風貌の下に隠す。漢族の一支流・客家の名家の末娘。元は英米留学経験のある学者で、総統時代の李登輝に請われて官僚の世界に入った。民進党の陳水扁政権で官僚、閣僚も経験し、民進党の主席となった。
派閥争いで空中分解しかかった民進党を立て直すなど、一流の調整能力をもつ。選挙前には米国、日本政府への根回しも行っている。5月20日の政権樹立後に直面するのは、馬英九前政権の“負の遺産”である赤字財政と崩壊の瀬戸際にある不動産バブル。さらに、中国が台湾統一を虎視眈々と狙って恫喝と圧力をかけてくる。だが「民主主義のために国家団結を」と党派・派閥を超えて呼びかける蔡氏なら、台湾を次なるステージに引き上げ、東アジア政治の潮目を変えるかもしれない。
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