お中元やお歳暮という日本独特の贈答文化は個人だけでなく、企業間でも活きている。だが、いつもカレンダーじゃ面白くない。どうせなら相手が喜んで、しっかりと印象に残るプレゼントを贈りたい。日本で初めてこうしたニーズに応える専門会社を作ったESSPRIDE(エスプライド)の西川世一代表取締役グループCEOに聞いた。

企業向け贈答菓子市場に新たなニーズ

取引先から贈られてくるお中元やお歳暮、企業の販促やイベントでもらうノベルティやグッズなど、ただでもらえるのはありがたいのだけれど、もらっても使いようがないし、ちょっと困るという経験をした人も少なくないだろう。

例えば、カレンダーや手帳、タオル、ボールペン、うちわなど。社名や企業ロゴが入っているとはいえ、いい印象で記憶に残ることはほとんどない。

ところが、こんなユニークなお菓子が贈られてきたらどうだろう。

ある外装工事会社の贈答菓子は、家の形をしたパッケージで、玄関のドアを開くと社長そっくりのイラストが現れ、家のなかには会社のロゴ入りゴーフレットが入っている。同社の営業担当が得意先にそれを贈ると、毎年必ず爆笑が起こり、取り引きが疎遠だった相手先から、わざわざお礼の連絡が入ったこともあるという。

ある機密文書処理会社では、オリジナルキャラクターの「保護(まもる)君」を作り、パッケージやお菓子にそのキャラクターを入れて、8年以上顧客に贈り続けている。その結果、「保護君」が浸透し、取り引きが増えたという。

こうしたユニークなオリジナル菓子やパッケージの企画・提案・制作を行っているのがエスプライド・グループだ。同社では、これを「働くお菓子」と呼び、企業向けの贈答菓子マーケットに新たなニーズを生み出した。現在、こうしたオリジナルお菓子事業を担っているのはグループ会社の「働くお菓子」である。

「働くお菓子」のオリジナル商品の一例。

同グループの代表取締役グループCEOである西川世一(37歳)は、こう語る。

「企業向けの菓子はビジネスにならないという誤った固定観念を打破できたと思っています。私たちのビジネスは画期的な創造や発明をしたわけではなく、日常生活にありふれたお菓子に新たな付加価値を乗せて、いままでなかった特別な存在に変えたのです」

取り引き実績は、累計3000社以上で、5000種におよぶオリジナルお菓子を開発してきた。新規問い合わせも毎月200件という勢いで伸びている。贈答だけでなく、各種記念品や販売促進用のツールやノベルティなどにも利用されている。

同社が2015年に行ったビジネスマンに対するアンケート調査では、お中元やお歳暮について「もらって困る、つまらないと感じるもの」の1位はカレンダー、次いでタオル、乾麺、食用油。一方、「もらってうれしい、気が利くと感じるもの」は1位がお菓子、次いでビール、コーヒー、ジュースなど飲食品が多い。また、「印象に残るお菓子」については、1位が「その企業のご当地銘菓」、2位が「その企業オリジナルのお菓子」となっている。オリジナル菓子がかなり効果的な贈答品であることがわかる。