「ハイブリッドイート」の時代到来?

これら3つのケースは、「静」に対して「動」を掛け合わせた「ハイブリッド」と言えるかもしれません。オーガニックを含む広義のヘルシーという価値は、ともすると非常に線が細く、また「情報を食べる」という側面が強いことも否めません。ただし、食とは本来「食欲」という本能による強い欲求をベースとしたものであることを考えるならば、ヘルシーという価値はそれに真っ向から応えたものとは言えないのかもしれません。

このことは実はヘルシーにとどまりません。「Eat Good(イートグッド)」と呼ばれるような、環境への配慮、生産者支援、地域活性化などのメッセージを含んだ食は、今確かに注目をされています。ただし、これらの価値も往々にして静的で生真面目になりがちで、ともすると送り手のエゴである可能性すらはらんでいます。そのときに、「楽しさ」や「勢い」、「やんちゃさ」などを意図的に組み合わせたハイブリッドスタイルは、受け手を巻き込む力強さを持つ、これからの時代のひとつのスタイルと言えるのではないでしょうか。

子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食コンサルタント。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。
株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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