――職場うつなどで、老後を迎える前に健康を害する人も増えていますね。

【藤川】家計相談でも、そういう方はいらっしゃいます。入ってきた瞬間にわかります。

【横山】極端に真面目な方が多いんですよね。家計簿をつけても、項目ごと、10円単位まできっちり合っていないと気がすまないような。

【藤川】そういう人には、道筋をつけてこれをやっていけばいいと、負担がないように手順をつくってあげます。そうしたら、私の場合は、「あとは好きにやったらいいですよ」と伝えます。だいたい、人生を狂わせるお金というのは、10円、20円の細かいお金じゃないんです。家とか、教育とか、ものすごい大きなお金の部分。だから、家計簿は基本、大雑把でいい。

われわれの仕事は、そのご家庭の家計が見渡せる雲の上に連れていって、「ほら、こんなになっているでしょ」って見せてあげて、気づかせてあげることだと思うんです。それでフワーっと高い視点から家計全体を俯瞰して見ることができるようになれば、もう安心です。あとは一軒一軒の投資判断を一緒にするぐらいでいい。

【横山】道筋さえ見えれば、相手もだんだんポジティブになります。真面目な方だからこそ、悩む。

ですから相談に来られた方には、たとえば家計簿の費目は、ご家庭ごとに決めていいとお伝えします。家計簿の費目をベースに、あとはご家庭に合うようにアレンジしていただければいい。

――あとは、なるべく夫婦で話し合っておくと。

【藤川】そのとおり。

【横山】それが一番重要ですね。

藤川太
家計の見直し相談センター代表。ファイナンシャルプランナー、CFP認定者。宅地建物取引主任者。
1968年、山口県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、大手自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。累計2万世帯超の相談実績を誇る。著書に『やっぱりサラリーマンは2度破産する』『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』など多数。
 
横山光昭
家計再生コンサルタント。マイエフピー代表取締役。ファイナンシャルプランナー。
司法書士事務所勤務を経て、同社設立。個別の相談・指導では、お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムを生かし、これまで7000人以上の赤字家計を再生した。著書は累計57万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズを代表作とし、著作累計86万部となる。
(小澤啓司=構成 小原孝博=撮影)
【関連記事】
サルでもわかる老後資金「最低額」計算式&無料アプリ
お金が貯まらない理由は、夫婦の会話にあった!
終の棲み家は都会のマンションか、それとも田舎の一軒家か
老後になって慌てている家計と幸せに暮らしている家計の違いは?
なぜ“小遣い0円妻”は老後の備えを食い潰すのか