ダイレクトに経営に関わりたい
しかし、しだいに会社が経営環境の変化などで変革を迫られることになる。鈴木氏もまた、転職に踏み切った。
「自分が起業? いえ、まだ考えていませんよ。この頃は20代で、会社を経営するような経験を踏んでいませんし、経営者として必要な人間力のようなものも身についていませんでしたから。ある程度のスキルや実績、人間性などが伴わないと、経営者としてなかなか認められないのではないかと思います」
2007年、30歳のとき、ヤフーに転職した。中途採用試験を受けたとき、学歴で判断されている印象は受けなかったという。モバイル事業部に配属され、その後、R&D統括本部に移る。いずれの部署でも、特定の大学出身者が昇格などで優遇されているとは感じなかったようだ。
「出身大学は、私が知る限りでは、幅広い層にわたっていました。青学ですか? いましたが、大学について話し合うことはなかったですね。学閥があるようにも思えませんでした」
前職の経験を生かし、事業部の事業計画書をつくったり、役員など経営幹部に提出する資料をつくることをした。数字をもとに調査や分析をするスキルが高まったと振り返る。
2009年、32歳で外国語学校の運営や留学、語学に関わるサービスをするベルリッツ・ジャパンに転職した。社長室のスタッフを募集していた。エージェントに登録すると、すぐに連絡があり、面接試験などを経て内定した。
「金融関連会社の社長直轄の部署で仕事をしていたときの残像が消えなかったのです。やはり、ダイレクトに経営に関わることをしていきたい、と思いました。社長室の一員ならば、それができると考えました」
当時、ベルリッツ・ジャパンは経営の曲がり角にあった。女性社長のもと、V字型回復がなされたが、鈴木氏はそれに関わることができたことが喜びだったと振り返る。
「社長には、よくしていただきました。数字をもとに、人事や営業など経営に関わることを話したり、提案をしたりすると、きちんと聞いてくださるのです。社長は、お客様のためにサービスをするマインドが強かったのです。マーケティングを徹底させることで、売上を伸ばしたのです。そばで見ていて、すごいなと思っていました。パワーの強い方で、圧倒されるくらいです。
学歴で判断されるなんて、一切感じませんでした。私が勤務した3つの会社では、学歴で配属、昇格などを決めることはしていなかったと思います」