外貨建て商品は、為替ヘッジのないものが多い?!

日本人は、生命保険好き。でも、ほんとうに生命保険のことをすべて理解して加入している人は、少ないと感じています。ところが、ただでさえ理解できない生命保険を、さらにややこしい外貨建てにする方がいらっしゃいます。金融機関に、二重三重に儲けさせ、加入者がリスクをかぶるなんて、ほんとうにナンセンス!

金融機関にだまされてそんな事態に陥らないよう、みなさんの常識を180度変えるために『ちょい投資』(中央公論新社)を出版しました。

経済ジャーナリストの荻原博子さん

まず、外貨建て生命保険の説明をしましょう。外貨建て生命保険とは、保険の支払いや保険金・年金・解約返戻金などの受け取りを外国の通貨でもらう(円でもらえるものもあります)保険のことを指します。支払った保険料の運用も、外貨で行います。売り文句は、「保険としての保障を得ながら、外貨にも分散できるので、投資としても一石二鳥」。グローバル時代には必要な保険だと言います。

具体的に見てみましょう。

たとえば、35歳の男性が、死亡時の保険金額10万ドルのアメリカ・ドル建ての終身保険に、月々150ドルの保険料を払って加入したとします。すると、死亡したら10万ドルもらえる保障が一生涯続き、途中で解約しても規定の金額をドルでもらえることになります(保険によっては、円でもドルでもらえます)。

確かに説明を聞いていると、グローバル時代ならではの保険であり、「これからの時代、やはり資産は円だけでなく、ドルでも持っていなくては!」と思うかもしれません。

でも、本当にそうなのでしょうか?

そもそもみなさんは、どのような人生を送ろうと思っていらっしゃるでしょうか。これをお読みの方がアメリカ人で、将来はアメリカに戻ろうとお考えなら分かります。しかし、あなたが日本に住んでいる日本人で、たぶん生涯を日本で過ごすことが予想される人にとっては、円ではなくドルで保障することに、どんな意味があるのでしょう。

ちなみに、外貨建ての保険や年金には、為替のヘッジがついていないものが多い。そうなれば、為替の影響をモロに受けやすいということも覚えておきましょう。