嫌なことも慣れると「友達」になれる
かつて我喜屋は取材にこう答えている(朝日新聞2010.8.26付)。
●あいさつや人付き合い、協調性、毎日の練習は、嫌でも、逃げても追いかけてくる。必要なのは意識しながら慣れること。そうすると「友達」になれる。
●朝起きてから寝るまで、五感を活性化させることで、小さいことに気づき、大きな成果が出せる。普段から小さいことができないと、サインを見落としカバーリングを怠る。
●散歩でたばこの吸い殻を見て見ないふりをする人は、「おれは関係ねえ」とカバーリングに回らない。誰が捨てたのでもいいから拾わないと、試合にならない。
●朝食のみそ汁やゴーヤーのおいしさを感じ、作ってくれた人に感謝の気持ちをもって残さない。そういう小さなことを感じられる男は、大きな仕事ができる。
時間厳守など、人との約束を守り、人に感謝する。整理整頓・あいさつの徹底をする。そうした「小さなこと」を率先して取り組み習慣化すると不思議と見落としがなくなり、いずれ大きな仕事ができる。
これは何も高校球児に限った話ではないだろう。
ビジネスマンは球児のように灼熱のグラウンドで「負けたらおしまい」の世界で戦っているわけではない。勝ったり、負けたりだ。敗者復活も可能だろう。だからこそ、勝って奢らず、負けて腐らず。日々、小さなことを大切にして、自分を「改革」する気概を持って生きていこう――。我喜屋率いる興南野球の一挙手一投足が視聴者の胸を打つのは、そんなメッセージが込められているからなのかもしれない。(文中敬称略)
参考文献:「逆境を生き抜く力」(我喜屋優・WAVE出版)、各一般紙、スポーツ紙、「スポーツナビ」ほか各ウェブサイト