年を取ってから「一生涯費目」カットは至難の業
「ちりも積もれば山となる」
とは、貯蓄形成を考える際に前向きに捉えることもできますが、裏を返せばムダ遣いも塵はたちまち山となります。そのことを踏まえ、考えてほしいのです。
ここからが大事なところです。一生涯費目の計算は、楽です。
電卓をたたけば、すぐに「累計」なんて出てきます。いかに大きな金額になるのもご理解いただけるでしょう。でも、いかんせんカットを「実行」するのは意外と難しい。
なぜでしょうか?
私は、お金の使い方は「生き方」だと思っています。ちょっとオーバーに聞こえるかもしれませんが、結構本気です。私たちの「行動パターン」ごとに「お金の使い方」があります。行動パターンとは、「生活スタイル」のようなものでしょう。ということは、「生き方」といっても、何らオーバーではないのでしょうか。
ましてや、一生涯費目ということは、一生涯かかるお金なのですから生きていく上で必要なコストなわけです。教育費や住宅ローンのように「いま」だけかかるコストではありません。あまりに身近な費目であるがゆえ、そこを削るとなれば、多かれ少なかれ生活スタイルを変えることにつながります。つまり、生き方を変えろと言われているようなものです。ここに一生涯費目のカットの難しさが潜んでいます。
もし「お金を貯めないといけないのは分かってはいるけれども、なかなか貯められない」と思っているとしたら、ここに理由があるかもしれません。
つまり、いまのあなたの「生き方(生活スタイル)」を変えることに精神的なブロックがかかっている可能性が高いのです。
さらにやっかいなのは、生活スタイルというのは、年齢を重ねるごとに凝り固まっていく傾向があります。平たく表現すれば、ガンコになるわけです。高齢になるほど一生涯費目の見直しは難しくなるのです。
▼高齢者ほど生活水準を落としたくない
ところが、追い打ちをかけるようですが、高齢になると、現役時代のときよりも見直せる費目が少なくなっていきます。固定費の王道とされる生命保険や住宅ローンも支払い終わっていればなおのこと。すぐに生活水準を落としてしまうような一生涯費目に手を付けることになりがちなのです。
もし、強い家計を作ろうとするのであれば、できるだけ若いうちに「一生涯費目」に注目し、ムダがないかチェックすることは極めて重要です。
早ければ早いほど、「累計額」が抑えられることはもちろん、精神的なハードルも低くて済むことでしょう。
一度、自分にとっての一生涯費目をピックアップし、こんな計算をしてみたらいかがでしょうか?
あなたの一生涯費目の金額(年)×あなたの年齢の平均余命
結果に驚いたらセンスありです。
月々のお金が小さいからと簡単に見過ごさず、ムダがないかどうかを確認し、いかにしたらカットできるか考えてみてはいかがでしょうか。