贅沢しているつもりはないという「言い訳」

「贅沢しているつもりはないのに、なぜかお金が貯まりません」

そう言って、相談に来られる人は少なくありません。

正直言うと、まだ相談業務に慣れていなかったときの私は、こう切り出されると、頭の中で「え? 贅沢していないのに、なぜお金が貯まらないのだろう」「私はきちんとアドバイスができるだろうか」とビクビクしていたものです。

しかしながら、家計を見れば一目瞭然。なんていうことはありません。ちゃんと使っています。いろんな家計を拝見していくうちに、「贅沢」を「贅沢」と認識できない落とし穴がいくつかあることに気が付いてきました。

そのことに触れる前に、とても重要なことを一つ確認しておきたいと思います。

お金は使えば無くなり、使わなければ貯まる、ということです。いわば、「お金の法則」です。

「当たり前ではないか」と思われるかもしれませんが、こんな至極当たり前のことでさえ、日々の生活にお金を使う場面が多くなると、分からなくなってしまうのです。だから、冒頭のセリフをもって相談に来られる方が後を絶ちません。

落とし穴【1】「贅沢」の基準がない

「毎月○万円以上使ったら、贅沢です」という明確な基準はどこにもありません。「贅沢」の基準は人それぞれです。そもそものところですが、相談者にとって「贅沢」ではない支出と思っても、相談者の収入からみれば少なくとも身の丈に合った支出ではない、ということがあります。

では、なぜ身の丈に合っていない支出をしていても、それを「贅沢ではない」と認識してしまうのでしょうか。そこには1つのパターンがあります。

相談者は異口同音にして、「必要な支出です」「削れません」といいます。「贅沢しているのではなく、必要だ」というのが、言い分のようです。

本当にそうでしょうか。