「健康のため」なら高額品は許される?

私がこれまで見てきた例でいうと、健康食品、タクシー代、グリーン車、ペット関連費、交際費、被服費、習い事、通信費などが、その「必要&削れない」支出の代表的な内容です。

例えば、健康食品を考えてみましょう。「健康のため」に、少し価格が高くとも天然の食材を買う、というと確かに「必要」な支出にみえます。

ただ、このとき考えたいのは、「目的」と「手段」です。

「目的」は健康になること。その「手段」として、高い健康食材を購入している、という構図です。健康は財産ですから、目的は決して間違っていません。そのための支出となれば、少々高くとも「贅沢」と認識されにくいのも、何だかうなずけます。

しかし、そのための「手段」は、本当に高い食材を買うことだけなのでしょうか。 

天然で体にいい食材を使ったお料理を食べている一方で、まったく運動もしない、たばこを吸う、甘いものがやめられない、偏食があるといった健康によくないことも行っているとしたら、どうでしょう。食材の効果も半減ではないでしょうか。

つまり、「目的」を達成するための「手段」を幅広く考えることが大事です。そして、できるだけお金のかからない方法を意識して模索してみることも大事です。

このケースであれば、ジョギングするなど体を動かすことを考えるのは効果的でしょう。自治体の健康センターを安く利用してトレーニングするのもいいかもしれません。

相談者の生活に24時間寄り添っているわけではないので、すべてを「必要ではない」とは言えませんが、貯蓄できていないのであれば、せめて身の丈を超えた支出をしている事実に気づかなければなりません。でないと、キリがありません。

落とし穴【2】家計簿の費目が多い

家計簿をしっかりつけようとすると、どうしても「費目」を細かく分けようとしてしまいます。これは良い面もありますが、悪い面もあります。特に、贅沢しているつもりはないのに貯蓄できない人の場合、このことが裏目に出ます。一つひとつの費目の支出はそれほど高くないのですが、合計すると高いのです。

費目が細かいために、一つひとつは収入に対してそれほど金額は高く見えません。ですから、「贅沢していない」という認識を生み出します。ところが、そうした細かい費目を足し合わせていくと、それ相応の額になっている、ということです。