どうすれば「ほどよい緊張感」を持つことができるのか。

「心にゆとりがありすぎてやる気が起きない場合は、目標ではなく見通しを立てること。『いつまでにやろう』では脳は反応しませんが、『1週間前からやらないと間に合わない』となれば、おのずと不安や緊張が頭をもたげるはずです。それでもやる気にならなければ、とにかく手をつけてみる。タイトルを打ち込むだけ、資料を読むだけでもいい。やっているうちに気分がのり、見通しもより明確になるため、ほどよい緊張感を保つことができるのです」

こう話すのは佐々木さんだ。

反対に、過度の不安や緊張でテンパっているときには深呼吸をしてリラックスすると、多少は緩和される。

「1日にいくつもやることが重なって慌てているときには、優先順位の低い、取り組みやすいものから手をつける。仕事が片付けば気持ちに余裕が生まれて、ほどよい緊張感で最も重要な仕事に取り組めます。ただ、提出期限に間に合わないなどの理由でテンパっているなら、期限を延ばしてもらうしか不安や緊張を取り除く方法ありません。僕の場合、原稿が遅れそうなときは、テンプレートの文章を先方にメールします。文章を考えるために、余計なエネルギーを使わずに済みます」(佐々木さん)

西多 昌規(にしだ・まさき)
精神科医・医学博士
自治医科大学精神医学教室講師。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、国立精神・神経医療研究センター、ハーバード・メディカル・スクール研究員を経て現職。
 
佐々木 正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト
1973年、北海道生まれ。獨協大学卒業後、ドコモサービス勤務を経て、米・アヴィラ大学心理学科卒業、ネバダ州立大学リノ校・実験心理学博士課程に移籍。2005年帰国。専門は認知心理学。

 

(撮影=向井渉、宇佐見利明 写真=GettyImages)
【関連記事】
1日の使い方、仕事の優先順位をどうするか?
仕事の効率を上げる「横着技」7
「いつも締め切りギリギリになる」解決法
段取りの習慣:本当に大事な仕事は2割だけである
なぜ仕事をすぐにやらない男が多いのか