年収の頭打ち感はまだ根強い。となれば、「稼ぐ枠組み」は自らつくるに限る。年収300万円なら月に5万円で収入は20%増だ。

自らも会社員時代に副業を行い、現在は副業情報サイトを運営する、ネットピコ代表の中野貴利人氏は副業の現状をこう語る。

「いまのおすすめはアルバイトですね。特に飲食は“ブラック職種”との印象が強く応募が少ない。条件がいいうえに週末のみの募集も多くなっています」

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副業適性マトリクス

副業といっても、幅広く捉えるべし。「飲食=学生バイト」という固定観念は前時代のものだ。

「ただし、副業全般にいえることですが、中長期的視野にもとづいて“職種”を選んだほうがいいですね。趣味などから自分の“強み”を洗い出してから始めるとリスクも軽減でき、長続きしやすい」

週末副業の王道、ネット副業にもその法則は当てはまるという。代表的なネット副業に、広告主のサイトへ張ったリンクから報酬が得られるアフィリエイトがある。

「アフィリエイトは、初心者も参入しやすくなりました。14年5月にGoogleが行った『パンダアップデート』以降、検索結果の表示順位が大幅に変わり、よりコンテンツの内容が重視されるようになりました。趣味や特技が活かしやすい土壌が整ったと思います」

文章に自信があれば、クラウドワーキング(ネットを通じて仕事の受発注を行うこと)を介してライターの仕事を探してもいいし、絵が得意なら、14年4月からLINEでオリジナルのスタンプを販売できる「LINEクリエイターズマーケット」も。

その他、再生数に応じて、広告報酬が得られる動画サイトへの投稿や、写真を販売できるストックフォトサービス、自宅に客を招いて有料でもてなす、マッチングサイトなども続々登場している。

「趣味がベースになっていれば蓄積もあるし、熱意が継続しやすい。最近、写真などはかなりニッチなものが売れるので、市場動向に気を配るのも大切ですね。ネットでの売買経験が少ない人はまずは転売――“セドリ”で雰囲気をつかむのが確実でしょう」

古本を古書店で仕入れる伝統的な手法のほか、ネットで仕入れる電子セドリや、中古カメラの転売。海外で人気のフィギュアをアマゾン経由で輸出するなど、セドリの手法も多様化しているようだ。

ただし何より気をつけたいのは、副業を開始する前に、勤め先の副業規定を確認することだ。

「公務員は公務員法で副業が明確に禁止されていますし、ふつうの会社員でも副業禁止に類する項目が定められている企業は4割以上あります。まずは就業規則を読み込み、届け出を出すか、抜け道を探すかから検討しましょう。“副業”のうちは本業も大事ですから」

副業と本業が逆転する可能性は誰にでもある。成功のキーワードは“継続”と“蓄積”だ。