次に、「なぜ、今までやりたいことができなかったのですか」と対話をするような感覚でヒアリングすることだ。管理職を採用する以上、新卒とは違って、本人の思いや価値観をいかに引き出すか、ヒアリング力が決定的に重要になる。
そのうえで見極めたいのは、「乗った馬から下りないような覚悟があるか」。最後までやり切る覚悟がある人かどうかを見抜くことだ。外から会社に入ると、異質な人間と思われ、周りからの圧力を受ける。それが女性であればなおさらだろう。それに耐えられるタフネスを持ち合わせた人なのかどうかをチェックするのは非常に重要だ。
そのためには面接にじっくりと時間をかけることが必要であるが、社長、会長が登場すると、どうしても硬い雰囲気になりがちだ。本人の本音を引き出すことは難しい。そこで有力な候補者には、その人にふさわしい女性社員をフォロワーとしてつけることをお勧めしたい。
面接前にフォロワーの女性とお茶を飲みながら、ざっくばらんにいろんな話をする。本人の抱えている事情や思いを第三者的な立場で理解し、把握する。本人にとってもフォロワーを通じてどんな会社なのかを知ることができ、メリットがある。
フォロワーの報告を踏まえて最終面接し、お互いに納得がいくまで話し込んで判断すれば、不幸な結果を招く可能性は大幅に下がるはずだ。
入社後のフォローも重要だ。どんなに面接を徹底しても、現社員からのプレッシャーや、過度の期待で辞める人が一定数いる。それを防ぐには、経営者自らが採用段階からその後のサポートまで深くコミットすることが重要だ。
先ほど本人の覚悟が重要だと言ったが、積極的に女性を活用していくつもりであれば、経営者が後ろ盾となってサポートしていく覚悟も求められる。
南 壮一郎
1999年、米・タフツ大学卒業。モルガン・スタンレー証券等を経て、2009年、管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設。