「自慢話で人間関係が悪くなった」「上司に言った余計なひと言で大変な目に遭った」「不用意なひと言で職場から総スカンを食った」など、まさに“口は禍の門”。ちょっとした失言の中によもやの落とし穴が潜む。本特集に際し行ったアンケート調査では、職場でうっかりしてしまった失言の体験を寄せてもらった。

失言は、気の緩みから生まれやすいとよく言われる。うれしいことがあると得意げになって自慢したくなるのは人の常。そんなときは周囲からの嫉妬に要注意というわけだ。サービス業に携わるAさん(男性・30歳)は昇進したとき「誰でもなれます」と職階が下になった先輩に言ってしまった。商社勤務のBさん(男性・46歳)は「大型案件が決まったとき、成績が落ちている先輩に自慢し、かんかんに怒られた」。

より深刻な事態を招きかねないのは「自分は仕事ができる」と思い込んでいる自信家や、「会社をよりよくするために自分が先頭に立って」という正義感や責任感が強い人だ。上司に意見を言ったり提案したりする行為が反感を買い、異動や出向、降格、最悪の場合は退職に追い込まれるケースも少なくない。

電気機器メーカーに勤めるCさん(男性・52歳)は上司に対し「その仕事のやり方はおかしい」と批判した。その後の人事考課において「評価が極端に低くなった」という。保険会社勤務のDさん(男性・50歳)は、「会社の金で飲みに行く時間があるなら、まずは企画書に目を通してほしい」と上司に懇願した。だが、前半のひと言は余計だった。結果は、「報復異動」。

「それをやったら会社は終わり。だから社長はバカなんだ」とぶち上げた医薬品メーカー勤務のEさん(男性・40歳)、「あなたはひと言が1時間以上になる。長話だ」と上司に指摘したFさん(男性・50歳)は、「強要されて退職に追い込まれた」。

このほか、上司に進言したら「機嫌が悪くなった」「逆ギレされた」「根に持たれた」というケースは枚挙に暇がない。思ったことをそのまま言葉にしてしまう人は、カドが立たないようにするコミュニケーション術を身につけたい。ほとんどの上司は了見が狭いと心得たほうが無難だろう。