内閣が掲げる第3の成長戦略の柱としての観光戦略が、大阪を含めた地方の起爆剤になると指摘するのは、新関西国際空港の安藤圭一社長兼CEO。
「飛騨高山へ観光する外国人は関空に入り、そこから京都、金沢、白川郷を回って高山に行くと聞きました。私自身が富山へ行ったときは、富山空港に路線を持つ中国の空港からたくさんの人が来て、宇奈月温泉や黒部を観光していた。それで街がかなり活況を呈しているという。アジアの中間所得層がLCCを利用して、日本へ大勢来ているのです」
この海外とのLCCの就航数が多いことが、関空の好業績を支えている。日本最大のLCC空港である関空には現在国際・国内合わせて12社が就航。主力のピーチ・アビエーションは関空を拠点空港として低コストで利用できるLCC専用ターミナルを利用する。関空では、LCCが採算をとりやすいようターミナルの建設も一緒に行うという。現在の国際旅客定期便、週782便のうちLCCによる運航は173便。比率は22%。日本全体でのLCC比率が2~3%程度というから、関空はLCCビジネスで相当に先行しているが、さらにLCC就航を加速していくと安藤氏は続ける。
「現在の第2ターミナルビルでは不足するので、16年秋には第3ターミナルビルを開業します。新規就航には初年度は着陸料を80%ディスカウントし、2年目には50%、3年には30%にするといったインセンティブをつけるプロモーションも行い、関空の有利性をアピールしています」
なぜ関空は、それほどまでにLCC戦略を加速するのか。背景には、関空独特の強みがあるようだ。
「LCCは単一の機種をいかに高稼働させるかがビジネスモデル。1日に4、5航路飛ぶので、混雑や天候で遅れが出ると、空港が定めている最終着陸時刻に間に合わず、次の日は欠航してしまう。関空は完全24時間空港だから、遅れても帰ってこられる。LCCにとって、24時間空港は大事なのです」
もう一点が、関西という立地だ。
「LCCは長距離には不向き。LCCの勝負は、4時間以内です。一方で、拡大する中間所得層を抱え、中長期的に成長するアジア諸国に、関空は近い。羽田や成田より飛行時間にして1時間ほど近い。3~4時間の中でのこの1時間の差は大きいと思います」
これら2点は、観光立国を目指す日本の西の玄関口として、関空がすでに十分に発揮している、大きな強みといえるだろう。
※平成24年時の関西大学宮本勝浩教授の計算による
直接効果
●USJの総売り上げ(入場料金、グッズなど商品販売収入、飲食販売収入、その他収入)
●大阪府内の飲食費や交通費
●遠方からUSJに来た入場者の宿泊費、USJ以外での飲食費、土産代、大阪府内交通費、その他消費支出
↓
10年間で5兆6190億3200万円の経済波及効果があると予測される
9年ぶりに日本シリーズに進出した阪神。残念ながら優勝は逃したが、もし日本一になっていたらどのくらい経済効果があったのか。宮本教授は429億円の効果を予想。リーグ優勝を逃したことなどで2003年や05年度の経済効果よりも少ないがそれでも影響は絶大。来年に期待だ。