救急車で緊急治療室へ

ヒューストンのホテルへ戻り、ベッドに入ってしばらくして、首のあたりが妙に痒く、

「蚊に刺されたか、まさか蚤はいないだろう」

しばらく我慢していたが、腕にも痒さがおよんで、もしや、と起き、鏡に映ったわが顔面に、愕然とした。発疹が連結して膨れあがっている。脱ぐと、上半身は蕁麻疹(じんましん)に埋め尽くされていた。深夜ではあったが、通訳さんに連絡、救急車で病院へ搬送された。

心電図やら、血圧、血液検査など受け、問診もあったが、原因はわかっている。

「じつは蟹アレルギーなんです」
「エエッ! じゃ、なんで食べたんですか」
「つい忘れていて」
「もう、ダメじゃない」

子を叱る母親の顔で通訳さんもあきれていたが、後に来日され、その息子さんとも会食して、笑い話のネタになったものだ。

さて、病院のベッドで安静にしている間、通訳さんが駆けずり回ってくれ、

「ここERですって。私、入るの初めてよ」

その頃、テレビドラマで流行っていたタイトルと同じ緊急治療室であったが、蕁麻疹ごときで、さぞや迷惑であったに相違ない。

その治療費は保険で決済されたが、後日、数回にわたって当時のレートで3000円くらいの請求書が届いた。通訳さんに相談したところ、病院内で支給された薬は本来、処方箋をもとに薬局で購入されるべき筋合いのもので、それを病院が代行したために発生した薬代と判明、これも通訳さんが払ってくれた。

なにからなにまでお世話になったが、これというのもすべては私が悪い。蟹のせいではない。痛風しかり。酒が悪いのでも、高カロリーな食事が悪いのでもない。責任は、私自身にある。

そうと知りながら、いつも風呂上がりに飲んでいる炭酸水に、今宵はバーボンの一滴、二滴でもたらして、などとよからぬ発想にふらつく私である。

(佐久間奏=イラストレーション)
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