要介護の親を「放置」する家庭も少なくない

要介護者がいる家庭では、そんな時、どうしているのか。

貴重な情報源になっている介護用品レンタル会社のIさんに聞くと、

「介護期間が長い家では、結構長時間家を空けていますよ。なかには丸一日平気で外出する人もいます」

では、食事や排せつの処理はどうするのかと問うと……。

「食事は手の届くところに置いておいたり、宅配業者にベッドまで運んでもらったり。排泄はホームヘルパーさんに1日1回来てもらった時に処理してもらい、それ以外の時間にしてしまった場合は我慢してもらうんです。介護する側にも生活があるわけで、要介護者にすべての時間を捧げるのは無理。そういう割り切りも必要になるんです」

在宅介護が長期に及べば、介護する側にもされる側にもそうした強さというか、慣れが生じるのかもしれません。もちろん、だからといって要介護者を放置していいというわけではありませんし、事情が許す限り寄り添うべきなのでしょうが、そうせざるを得ないのが在宅介護の現実のようです。

【関連記事】
たった「1錠」で始まった認知症状「危険な週末」
親が突然寝たきりに。パニックの中、まずは何をするべきか
壊れゆく認知症の父……「おおスザンナ」の夜
なぜ残念なケアマネージャーがのさばるか
なぜ、父は「訪問介護入浴」を拒否したのか?