ユーザーの評判こそ「ブランド」

ホルスト・シュルツ氏

シュルツさんが大事にしている「パーソナルな対応」は、評判管理においても大切です。たとえば、どんなクレームにも定型文を用いて返信しているうちは、お客様1人ひとりに向けてサービスを提供できているとは言えません。トリップアドバイザーのように、ユーザーへの返信が公にされ、誰でもみられるようなサイトでは、サービスの送り手が、お客様の心情に寄り添い、「1対1の関係」を大切にしているかどうかが衆目にさらされます。

お客様1人ひとりの価値基準が異なる以上、すべての人にプラスの評価を期待することはできません。それでも、お客様からのコメントに誠実に答えていくことで、ブランドを守ることができるのです。

ふだんからお客様と信頼でつながっていれば、事実と異なる噂が広まってしまった時でも「あのホテルに限ってそんなことをするはずがない」あるいは「ミスがあっても、それをちゃんとカバーしてくれるホテルだから、最終的にはよい滞在になる。だからぼくはあのホテルに泊まり続けるよ」というように、好意を持って見守ってもらえます。日々の活動の中で、お客様とのつながりを大事にしているなら、たとえクレームが起きてもお客様とのつながりが断ち切れることはないのです。

サービスの受け手からの評判こそ、ブランドです。どのような評判を築いていくか、そこには戦略が不可欠であり、いまの評判を客観的に理解し、目指す場所へと評判を高めていくことが大事です。それがお客様を集め、リピーター・ロイヤルカスタマーを獲得し、さらに、マイナスの評判に対しては、最も効果の高い防衛の手立てとなり得るのです。

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