スカイプでの会話で採用が決まった
競争のありそうな成長産業で自分の経験が活かせる会社を探し始めた頃、日経新聞や週刊東洋経済の記事でテラモーターズの存在を知ったんです。
自分と同世代の若い人たちががんばっていそうなところに魅力を感じ、メールを書いてみました。そうしたら、徳重(徹)社長からすぐに「スカイプしましょう」というメールが。そこには「来週、君がいまアフリカで何をやっているか。それがうちの会社にどう役に立つかをプレゼンしてくれ」とも書かれていました。スカイプ経由で話をすると、あっという間に採用が決まってしまったんです。
テラモーターズでは、入社当初から海外営業の担当をしています。最初は想像以上に仕事のスピード感が早いことに戸惑いました。手とり足とりの研修は何もなくて、入社してすぐに社長から言われたのが「海外で三輪バイクの売り上げをつくってくれ」というただそれだけ。後は何をすべきかを自分で考えろ、と。とりあえず商社に電話をしてみたり、海外のディーラーに電話したり、リンクトインで人脈を作ったりしていきましたが、なかなか精神的にもつらい時期が続きましたね。
ベンチャーで働くことの大変さというのは、自分の仕事が何も決まっていないということでした。すべてを自分で決め、その結果責任も自分で負う。だから、仕事中は「どうしてだ」「なんでだ」と悩んでいる時間のほうが多いくらいです。会社には仕事の進め方のマニュアルも経験もない。これで本当に合っているのだろうか、と常に不安なまま前に進んでいかなければない。
ここでの働き方を経験して知ったのは、これまで自分がしてきた仕事の多くが、単なる「作業」に過ぎなかったということでした。すでに仕組みができている企業では、事業に対する論点の整理も終わっていて、課題もわかっている。その中で「これを改善して」と言われれば、改善すればいい。行動さえすれば成果が出る仕組みができている。私自身、そんなふうに仕事をしていたな、って。
ところが、テラモーターズでは誰に売るのかもわからないまま、いきなり「これを売って」と社長から言われる。いくら行動をしても成果が出なければ認められないし、どうすれば成果が出るのかを誰も知らない。その中で悩んだり苦しんだりすることが、自分の人生にとって良いことだと感じられなければ、こうした会社では働けないと思います。