同社は、このようにしてでき上がった「セブンゴールド 金の食パン」に自信を持っていた。だが、自己満足になってはいけないという自戒の念から、複数の消費者テストを実施している。1つは、同社が一般の消費者に問いかけを行うことのできる「プレミアムライフ向上委員会」という組織を使い、約200名の消費者に市場で支持されている1斤300円弱の食パンと新たに開発した「金の食パン」とを家庭に届け、日常の生活シーンの中で、食べ比べをお願いしている。具体的には、サンプルPという「金の食パン」とサンプルQという300円の高級食パンとを賞味してもらい、どちらがおいしいか意見を求めたのだ。
この結果は、約7割の消費者がPの「金の食パン」のほうがおいしいと回答してくれたという。加えて、手ごねによりなしえた「もっちりとした食感」に関しても、「生地のもっちり感がいい」と回答した消費者が8割を超え、「生地の甘味がいい」としてくれた人も8割近くに上ったという。
また、発売に先立つ昨年2月に神奈川のセブン-イレブン160店舗で、テスト販売を行っている。加盟店のオーナーや現場を回っているオペレーションメンバーなどが、試食をしてそのおいしさを実感し、言葉やPOPでそれを消費者に伝えた。この結果、1日で10個以上売り上げた店が、65店にも上ったという。同社の鈴木敏文会長兼CEOは常々、「毎日、1店当たり10個売れる商品をつくりなさい」と指導しているそうだが、食パンという商品は、セブン-イレブンの店ではトップブランドでも1日2個売れるかどうかといった極めて売れ行きの悪い商品だった。それがオリジナル商品の開発、店内プロモーションなどで前記のような高成果を得る店舗が多数に上り、最も売れた店では初日になんと133個も売れたという。さらに驚くべきことに、「金の食パン」の好成果にもかかわらず、既存の食パンの売り上げは一切落ちなかったというのだ。
この商品は、1斤250円と、同種のNBに比べて明らかに高価だ。神奈川エリアのテストマーケティングでは、この価格水準に関しても厳しいチェックを行っていたそうだが、予想以上の売り上げ水準が継続的に得られたので、商品価値に見合った価格と判断したという。つまり、価値訴求型のオリジナル商品の開発によってまさにフロンティア市場、ブルーオーシャンを発見したということだろう。
上記のテストマーケティングの結果を受け、さらに全国12カ所の商品展示会場で試食テストがなされている。展示会の場で加盟店オーナー、従業員らにオリジナル商品を含む20アイテムの商品を試食してもらった。この結果、「金の食パン」が「一番おいしい」と回答したところが、ほぼすべてだった(静岡1カ所を除く)。