自分のアウトプットに自信を持つには「常時フルスイング」せよ

――会社員時代と漫画家になってからで、仕事に対するスタンスは変わりましたか。

変わりましたね。会社員の頃は「いいものをつくっている」と胸を張って言えなかったんです。いろいろな人と擦り合わせる中で「あんまり良くないな……」という仕上がりになっても、「まぁこんなもんか」と簡単に妥協していた。思えば「何が面白いのか、良いのか」という確信がなかったんでしょうね。

でも、広告の賞を取る事例とかは「よくクライアントを説得したな!」みたいなものばかりで。そんな華々しい事例を横目に見つつ、当時は我を通すことができませんでした。

不思議と、漫画家になってこれができるようになったんです。

――それは、環境を変えたからでしょうか。

結果論でしかないのですが、たまたま心からいいと思うものをつくることができて、それが最初から「バズる」という形で承認されたからですよね。「自分がいいと思ったものは、やっぱりいいんだ」って、答え合わせができた。そうしたら、気持ちが楽になりました。

今も広告漫画をつくる機会もありますが、クライアントに「それをやったら絶対良くないですよ」と言えますから。

――成功体験がなかったから、我を通せなかったということでしょうか。

そうかもしれません。自分は良いと思っているけど、世の中や組織的にも良いと評価されているものがなかった。

そこで思い切り振りかぶってみたら、予想外にホームランを打てて、「そうか、フルスイングすればいいだけなんだ」と気付いたという。今まではボールに合わせよう、合わせようとするばかりで「なんでみんなホームランを打てるんだ、自分はたまに一塁に進めるくらいなのに」なんて思っていました。

――このかっぴーさんの経験を会社員の仕事に活かすなら、「自信を持って仕事と向き合うには、とにかく小さな成功体験を早く積め!」ということになりそうですね。

先ほどの試行回数の話にもつながりますが、本当にそうだと思います。

僕の中では、自己評価と他人からの評価はセットで。自分も良いと思うし、相手も良いと思ってくれる、となって初めて「成功体験」と言えるように思うんです。だからこそ、試行回数を増やして、相手が良いと思うものを探る必要がある。漫画家なら描いた漫画は編集者に余すことなく見せたほうがいいでしょうし、会社員の仕事でも自分のアウトプットを上司や同僚や先輩にどんどん見せてフィードバックをもらうべきですよね。