東京の3倍のポテンシャルを秘めている
多くの街に住んだ経験のある佐々木にとって、福岡市は他の地域と決定的に違うことがあった。それは、
「福岡(市)は、本当に珍しいですが、『福岡が大好き』っていう人が圧倒的に多い街なんです」
佐々木によれば、地方都市では大人たちが、「この街には何もない」と言い続けていることにより、子どもたちが自分で街の魅力を覚える機会を奪ってしまっている。気づいたころには子どもたちが「この街には何もない」と言い、街を出ていく。そして街を衰退させてしまう、という。
そして、佐々木の目にはこうした地方から人もモノもお金も集め続けて成長してきたのが東京なのではないか、と。
しかし、福岡市は違った。古来、アジア諸国との貿易で栄えた歴史は受け継がれ、さらにその規模感を増して福岡市はアジアの交流点となり、アジアから流入する人々、資金、それらが混じり合う場所として日本の都市の中でも独特な繁栄の地位を築いている。
佐々木は福岡市の“繁栄の輪”を示してみせる。“繁栄の輪”とは、福岡市をコンパスの軸に置いて切り取った経済圏のことだ。そのアジア諸国に広がる“繁栄の輪”が抱える経済人口は3億数千万人。東京のそれが1億数千万人なのに対して、およそ3倍。それだけのポテンシャルを抱えているということだ。
「こうした可能性を抱えている上に、福岡市はまだまだ人情が深く息づいている。加えて自然との調和は素晴らしい。こう考えると、潜在的に抱える人口、自然、経済圏に抱える産業、発展に必要なピースがこれほど揃っている都市も本当に珍しいと思いますし、もっと、もっと生かせると思っています」
素人だからできることもある
佐々木の視線は、“日本の福岡”“アジアの福岡”といった大きな俯瞰的なものに見えてくる。
その上で改めて問うた。
「なぜあなたは福岡市長選挙に出馬されるのですか」
ネット上では縷々説明したような悪質な誹謗中傷の他に、佐々木の政治経験の無さを指摘する声も多数聞かれもした。一見、逆風だらけのようにしか見えないが……。
それに対し、佐々木はオンライン上でもはっきりと見て取れるような笑顔を見せ、こう答えた。
「確かに政治経験はゼロです」
ここでいったん、言葉を切りこう続けた。
「しかし、政治経験の無さは逆に強みになりうるとも思っています。“素人”だからこそ、見えてくるものもあります。現に、高島(宗一郎)前市長は“素人”でした。だからこそ、16年間も議会と高めあい続け、そのなかで福岡市の成長を創ることができた。政治のなれあいではなく、純粋に街を想う人たちの力を結集させる政治をつくることも素人の責任としてあると思っています」
そして、「変な言い方かもしれませんが、福岡市は本当に“人間が住むべき街”というか、稀有な素晴らしい街です」と言い切った。
ネット上での悪質極まりない書き込み、脅迫めいた書き込み……。そうした思った以上の試練を人生で初めて経験した佐々木。その佐々木に未来を感じさせ、変化を感じさせてくれるのが街頭での生の声だという。
「差別に負けないで」「最後まで頑張って」
29歳の信念は、さらに揺るぎないものになっているようだ。
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