手首の親指側に痛みが出る病気
手首や親指を動かすと痛みが走る、指を曲げるたびに抵抗を感じる、手の甲や指の付け根に痛みや腫れがある――。こうした症状が表れる腱鞘炎は、よく知られる「手」の病気です。指を動かす働きをする腱と、その腱を包む「腱鞘」の間に炎症が起こることで生じる病気です。
一口に腱鞘炎といっても、「ドケルバン腱鞘炎」と「ばね指」という2種類があり、それぞれ痛みの原因となる腱鞘の場所が異なります(画像2・4参照)。
ドケルバン腱鞘炎では手首の親指側に痛みや腫れが生じます。手首の親指側の腱鞘には、1本の腱だけでなく「長母指外転筋腱」と、「短母指伸筋腱」の2本が通っています。いずれも親指を動かす腱です。
ドケルバン腱鞘炎は、このうち主に親指を伸ばす働きをする短母指伸筋腱の炎症によって起こります。大きい物を持つ、床に手をつくなど、親指に負荷がかかる動作をしたときに、強い痛みが出ます。
指を伸ばしにくくなる「ばね指」
一方、ばね指は、屈筋腱と腱鞘の間の炎症によって生じます。屈筋腱とは前腕にある屈筋と手指とをつなぐ腱で、手首から手のひらを通り、各指先まで伸びて関節に付いています。この腱は、いくつかのトンネル構造になった腱鞘を通ります。
通常、この屈筋腱は、関節を覆う薄い膜状の組織である滑膜が“潤滑油”となって、腱鞘の中をスムーズに出入りしています。しかし、何らかの原因で滑膜が炎症を起こして肥大すると、腱の移動がうまくいかなくなり、腱と腱鞘がこすれ合って炎症が起こり、指の付け根に痛みが生じます。最も多いのは中指。次に親指に多く薬指、人さし指、小指の順です。
人さし指から小指までの4指には、第1関節(DIP関節)を曲げる深指屈筋腱と、第2関節(PIP関節)を曲げる浅指屈筋腱の2種類があり、ばね指では浅いところにある浅指屈筋腱と腱鞘の間で炎症が起こります。



