女性のほうが腱鞘炎が多い背景とは
炎症が進むと、浅指屈筋腱は腫れて太くなり、腱鞘の中を通過するときに引っかかるようになります。第1関節には影響がないので指の先を曲げることはできますが、浅指屈筋腱が付いている第2関節には痛みが生じ、スムーズに指を伸ばすことができなくなります。そこで無理に伸ばそうとするとばねのように急に伸びることから、ばね指と呼ばれます。指の付け根に生じた腱鞘炎だと考えればわかりやすいでしょう。
当院での調査(※)では、ドケルバン腱鞘炎の男女比は約2:8。ばね指の男女比は約3:7と、いずれも女性のほうが多い結果となっています。
※2025年度に柏Handクリニックに通院したばね指1421人、ドケルバン腱鞘炎151人の患者を対象に調査。
一方、発症年齢には違いがあり、39歳までは腱鞘炎のうちドケルバン腱鞘炎が多く、ばね指は40歳以降から増えます。50代はどちらも多い、という状況でした。
ドケルバン腱鞘炎は産後の女性に多い印象があります。まだ首がすわっていない赤ちゃんを親指で支えたり、その状態で沐浴させたりするなど、育児の際に親指に力が入ることが多いためだと考えられます。
腱鞘という鞘状になった組織に腱が出入りするのですが、腱鞘の炎症は画像6のように「腱が厚くなること」「腱をとりまく滑膜が炎症を起こすこと」という2つの要因で起こります。その1つ、滑膜の炎症は、女性ホルモンの減少に伴い、起こりやすいと考えられています。つまり、腱鞘炎は、女性ホルモンとの関わりが大きいのです。
「片手スマホ」は親指への負担大
スマホの使い過ぎが腱鞘炎の原因なのではと思う人もいるでしょう。それについては、きちんと統計をとり、分析しなくてはわかりませんが、手指の痛みを訴える患者さんの中には、心当たりがある人が少なくないようです。
最近人気の大画面のスマホは、片手で持って、その親指で操作すると負担がかかりやすいので、ドケルバン腱鞘炎の人は注意が必要です。特に、電車の中で立ったままスマホを操作するときなどは、長時間親指だけで操作することになります。親指を大きく回す動作や上から下へ動かすスワイプなどは繰り返さないようにし、スマホを使うときは、片手のひらに端末をのせ、もう一方の手で操作しましょう。



