「営業アシスタント」から「営業デスク」へ

こうして2018年、木島さんはコドモンの営業部門である「普及推進部」(当時)にただ一人の営業アシスタントとして入社した。

「これまでにないポジションができて、最初は営業担当者も戸惑ったと思います。『自分がやったほうが早い』となかなか仕事を任せてもらえなくて。それでも、少しずつ『木島さんに頼んだほうが早い』『本来の営業活動に集中できる』と実感してもらえるようになると、信頼関係ができていきました」

木島さんが引き受けたのは、契約書の作成やデータの入力などの決められた事務作業だけにとどまらなかった。顧客とのやり取りにも対応し、営業担当者が商談に集中できる環境を整えた。さらに、非効率な作業を見つけて改善したり、新サービスの開始時には部署を横断して業務フローを構築したり。上長や営業担当者から依頼されるのを待つのではなく、自ら課題を見つけ、営業活動を円滑に進める仕組みをつくっていった。

こうした取り組みを重ねるなかで、木島さんは上司に「営業アシスタント」という名称を変えたいと申し出る。営業担当者の指示を受けて動く補佐役ではなく、ともに営業成果を生み出す存在でありたい。そんな思いから生まれたのが、「営業デスク」だった。

たった8カ月で売り上げ2倍の秘密

営業デスク設置の効果は、数字にも表れた。2019年には、わずか8カ月で売り上げが2倍に。市場環境の変化も追い風となったが、営業担当者を増員することなく、売上を伸ばした背景には、営業担当者が商談に集中できる体制づくりがあったことは間違いないだろう。

「営業担当者を増やすより、営業デスクを増やしたほうが成果が上がる、と評価してもらえるようになり、少しずつメンバーが増えていきました」

たった一人から始まった営業デスクは、今や木島さんを含め14人のチームに成長した。営業担当者22人とともに走る部隊だ。

しかし、マネジャーとなった木島さんには、新たな葛藤が生まれていた。

「マネジャーなんだから、何でも知っていなきゃいけない。誰よりも仕事ができなければいけないと思い込んでいたんです。ずっと自信がなかったからこそ、誰からも頼られる存在になろう、一番になろうと頑張りすぎてしまって。上司はそんな私の気質をよく知っていて、マネジャーになるときに『一番できる人にならなくていい』『メンバーが動きやすい状況をつくり、障壁を取り除くのがマネジャーなんだよ』と言ってくれたのですが……」