見栄や虚勢を張ると人が離れていく
他者と積極的に向き合おうとする「媚態」を持ちながらも、自分を見失わない「意気地」を持ち、他者への過度な期待や執着を手放す「諦め」の境地を知る。すべてをさらけ出して相手に寄りかかるのではなく、この3つのバランスを保つことこそが、承認欲求に振り回されず、適度な距離を持って他者と交わるための極意と言える。
では、他者との適切な距離とはどのくらいか。
仕事上の関係では、信頼を得ることが何より大切だ。他者からの信頼を得るうえでは、見栄や虚勢を張らないことが重要である。ともすると私たちは他人からの評価を常に気にし、自分を少しでも優位に見せようと「知ったかぶり」をしたり、見え透いたハッタリを使ったりしがちだ。
しかし、利益という共通目的のためにシビアな結果が求められる仕事の現場では、そのようなメッキはあっという間に剝がれ落ちる。
一度でも「嘘つき」と思われれば、その信頼を回復するのは至難の業だ。むしろ、自分にできることとできないことを率直に伝え、約束したことを着実に実行する人のほうが、長期的にははるかに信頼される。
虚勢を張らずに等身大で仕事に向き合う人の周りには、いざというときに助けてくれる味方が自然と集まってくるものだ。
仕事の人間関係は利害でつながっている
ただし、どれほど信頼関係を築けたとしても、仕事相手はあくまでも「利害関係」で結びついた存在であることは忘れてはならない。
ここで求められる距離感とは、「歩留まり」と「リスクヘッジ」の意識を持つことだ。歩留まりの意識とは、相手に完璧を期待せず、自分の期待に応えてくれるのは「6割程度」と見積もっておくことである。
そうすれば、7割の達成率でもありがたいと思えるし、足りない部分を補う策を前もって考えておくこともできる。相手に過剰な期待をしないという、まさに「諦め」の実践である。
また、リスクヘッジとして「相手は誰からお金をもらっているのか」を常に客観視することも不可欠だ。仕事相手は例外なく、報酬を出している雇い主の利益のために働いている。
この視点を持てば、たとえ対立しても、それは人間的な衝突ではなく雇い主同士の利害の衝突として冷静に対処できる。等身大で仕事に向き合って信頼関係を築く一方で、相手への過剰な期待を手放し、「歩留まり」と「リスクヘッジ」を計算する冷徹な視点も併せ持つ。
この2つのバランスを明確に使い分けることが、仕事の中での「適切な距離感」を生み出していく。
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