歌舞伎と初音ミクがコラボする面白さ

初めて東京を歩いた夜のことが忘れられない。新宿で巨大スクリーンやネオンが立ち並ぶエリアを歩いていると思ったら、ふっと雰囲気が変わって次の路地では石畳と小さな神社が現れた。京都でも、金箔きんぱくに覆われた仏像の静謐せいひつさを堪能した日の夜に、バイオヴォルテックス京都にチームラボの光と映像のアート作品を見に行った。

歌舞伎座で伝統芸能がバーチャル・シンガー「初音ミク」とコラボした「超歌舞伎」を観劇し、金沢の国立工芸館では人間国宝を含む伝統工芸の作家・職人が、多種多様な素材と技術でポケモンを作っているのを見た……。伝統文化と現代文化が共存している。不思議な国だ、そう思った。 〈ロンドンの建築家、マイケルの日本旅行記〉

歌舞伎座
写真=iStock.com/TkKurikawa
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日本に対して、マイケルのような印象を持つ人は多い。フランスとマレーシアにルーツを持つベルリン在住の29歳のキュレーター、Jは、次のように語る。

「Zenのように、伝統的な価値観をそのまま現代社会に持ち込む方法を、日本人は知っていると感じます。フランスや東南アジアで、伝統が単なる観光客目当てのイベントや商品になり、消費されているのとは対照的です。

文化の変容にオープンでいる日本の姿勢は、現代に生きる私たちにとって学びが多いものです。伝統を重視してテクノロジーを嫌うか、テクノロジーだけを狂信的に受け入れるかのどちらでもない中間的存在、伝統と現代の二元で分け切っていない点が、非常に興味深いです」

外国人の印象に残る「ふたつの顔」

インタビューを行ったエキスパートたちも、口々に同様の指摘をする。オーストラリアにおける日本文化研究の第一人者で、モナシュ大学の日本研究センターのアン・デ・クレッツァーさんは、オーストラリア人の目には日本文化に2つの種類があるように見えると話す。

「日本には伝統的な文化と、POPカルチャーの2つの文化があり、オーストラリアではどちらも興味を持たれています。オーストラリアは国が若く、歴史を大事にしていません。日本は、伝統的な建物、伝統的な地区がある一方、モダンなビルや新幹線もあり、バランスが良いですね」

外務省により設置された対外発信拠点のジャパン・ハウスのロンドン館長を務めるサム・ソーンさんは、

「ロンドンで人々はハイストリートに並ぶファッションブランド、例えば無印良品やユニクロなどの印象から、日本に対するイメージを作り上げています。これらのブランドは、デザイン性の高さと価格の手頃さのバランスの良さが好まれています。イノベーションと伝統・歴史もそうですが、こうした『二面性(Duality)』は、人々が日本に付随して持つイメージの至るところにあって、それこそが日本の印象だと言えます」

と特徴を指摘する。