クマ撃退実績のあるスプレーは必携

もし被害者本人や同行者が、私自身や私の周囲のプロが常時携行している、国内での確かなクマ類撃退実績がある銘柄のクマスプレー(商品名:カウンターアソールト)を持参していれば、負傷はしても、死亡事故にまではならなかったのではないかと私は推測している。これは、2025年7月に道南の福島町で発生した新聞配達員の男性の死亡事故についても同様である。

「クマ撃退スプレー」を製造または販売する事業者は、人命に関わる商品を扱っていることを強く自覚し、飼育個体での実験すら経ていないような商品は、いっさい販売すべきではない。読者の皆さんも、クマ撃退スプレーを購入する際の商品選びは、くれぐれも慎重に行っていただきたい。少なくともネットショップでの安物の購入は、偽造品が横行している現状も含めて考慮すると、正直私はお薦めできない。

事故発生の翌日に現地に捜索に入った警察関係者やハンターが、被害者男性の遺体をくわえて移動中のメス成獣と随伴ずいはんする満0ゼロ歳の子グマ2頭を発見し、これらの個体を時間差で射殺している。

被害者の遺体とヒグマ死体のDNA分析を含む検証などにより、このメス成獣(識別コード:SH)が加害個体であると判断されたが、当該個体は国立公園エリア内での露出が多い、知床財団や北大などによって個体識別されていた「人なれ個体」のうちの一頭であった。アマチュアカメラマンや観光客の接近撮影の被写体にも何度もなっていた個体である。人間側の多少おかしな動きも許容してしまう知床の人なれグマであっても、一定の条件が重なれば人を攻撃し、食害もすることを本事件は示した。人なれ個体であっても、一部カメラマンが主張するような「大丈夫」ではないこともあるのだ。

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