犬山紙子(いぬやま・かみこ)
1981年生まれ。エッセイスト。美人なのに恋愛がうまくいかない女性たちのエピソードを綴ったイラストエッセー『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。女性観察の名手としてテレビやラジオでも活躍中。著書に『嫌われ女子50』(ベストセラーズ)ほか。

「高学歴男子って“誠実そう”“稼いでくれそう”で“将来安泰っぽい”と、イメージ的にはモテそうなのに、実際には“残念”なケースが多くて、ブーイングが上がってばかりなんですよね」

そうしたイメージと現実の落差に疑問を持った著者が、長年の「いろんな男女と酒を飲む」というフィールドワークの場で遭遇したケースを基に、高学歴に高収入、そして高プライドという、著者言うところの「現代版・3高」男たちが陥りやすい罠と、その解決策を探っていく。より有り体に言えば、彼らの見事な“残念ぶり”に対して、著者一流の愛あるダメ出しを重ねていく。そんな本書のページをめくる度に刺さってくるのが、オンナ目線という名の俎上に載せられた男たちへと向けられた、鋭いツッコミの数々だ。

自信はないのにプライドだけは高くて扱いにくい、女性に対する的外れかつ説教臭いアドバイス(ちなみに著者はそうした「上から目線アドバイス」をクソバイスと呼ぶ)がウザい……ここまで言われた以上、男性はどう振る舞えばいいというのか。

「高学歴の男性って、普通の方に比べて自己防衛心が強いし、実際アタマがいい分だけ、身を守る術にも長けていると思います。でも、そんな“傷付きたくない”という気持ちがあだとなり、“ふられて傷付くくらいだったらいいや”と女性と正面から向き合おうとしない。でも恋愛って誰もが一度は傷付くものだし、ならもっと打たれ強く、そして普通に振る舞えばいいのに。でないと、せっかくの“高スペック”がもったいないと思います」

ケーススタディーの餌食(?)となった男たちの言動を、「コイツらバカだな」と笑い飛ばすか、「これは自分のことか」と冷や汗をかくかは人それぞれ。ただ、そうした恋愛ハウツー本としてだけでなく、日常のコミュニケーションにおける女性の感情の機微を知るうえでも、実は有益な読み方のできる1冊でもある。その意味で、女性部下の心理を理解したい男性上司にも役立つ1冊かもしれない。

(薈田 純一=撮影)
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