主導権を握っているのは大人か、子供か
私たちは、ついつい「してはいけないこと」を伝えがちですが、「してもいいこと」を伝えてみてはどうでしょうか。
たとえば、「テーブルに登っちゃダメ。でも、身体を動かしたいなら、あっちのソファなら登っていいよ」。子どもがテーブルに登ったとき、そのまま放置するのではなく、降ろしてこう言いましょう。「テーブルは登るところじゃないよ。ソファならいいよ」
そして、テーブルのそばで見守り、もう一度登ろうとしたらソファへ誘導する。子どもはちゃんと見ています――境界線が本当に守られるのかどうかを。主導権を握っているのは大人ですか? それとも、いつの間にか子どもに握られていますか?
バナナブレッドの新しいレシピを見つけたとしましょう。一度作ってみたらとても美味しかったので、また作るようになりました。
3回目ともなると、焼く前に材料をすべて出しておき、オーブンの予熱も忘れず、計量スプーンも手元に揃え、お気に入りのボウルも洗ってスタンバイ済み。何度も作るうちに頭に入ってしまい、もうレシピを見なくても大丈夫です。
子どもには繰り返し思い出させることが必要
では想像してみてください。あなたの子どもが同じように「段取り」を身につけるまでに、いったい何回バナナブレッドを焼く必要があるでしょうか。
子どもの脳は私たちよりも速く新しいことを吸収します。でも、日常で出会うことのほとんどが、子どもにとっては「初めて」です。それを覚えて意味を理解するのに、大人よりもはるかに大きなエネルギーを使っています。
子どもは常に周りの世界に浸りながら、膨大な数の神経回路や概念を同時につくりあげているのです。一方、あなたが今週出会った「新しいもの」といえば、バナナブレッドのレシピくらいかもしれないのに。
だから、子どもには繰り返し思い出させることが必要です。境界線を押し広げようとする行動は必ずやってくる――そう前提に置いて、守る準備をしておきましょう。「この境界線は本物だよ」と、行動で示しつづけることが大切です。
強い感情と同じように、子どもが境界線を試してくるのはごく自然なことです。そう理解しておくと、自分がカッとなりそうになる気持ちにも気づけますし、その気持ちを落ち着かせやすくなります。

