外見をいじる言葉を誰でもポストできる

でも、時代は変わりました。SNSが普及した今の時代、著名人に対する「容姿への言及」に拍車がかかっています。昔は一部のタブロイド紙が書くだけだったものが、現在は「24時間誰でも匿名でSNSに書き込める」わけです。そういったなかで見た目に関連する誹謗中傷は深刻度を増しています。

その一方で欧米諸国では近年「Body shamingが問題である」という認識が高まってきています。ボディシェイミングとは、他人の容姿をばかにしたり批判したりすることです。相手から求められていないのにもかかわらず、意見を言うことも含まれます。簡単に言うと「あなたの体はそのままだと恥ずかしいですよ」というメッセージを含んだ発言がボディシェイミングです。一部にアップデートできていない人がいるものの、欧米の社会では「ボディシェイミングをやってはならない」という認識が広まっているのです。そういったなかで、Frederiksen首相が「自分の容姿について失礼なことを言う人に対して直球で反論をしたこと」は時代に合ったリアクションだと言えるでしょう。

「自らの容姿についてアレコレ言ってきた人に対して、女性であるFrederiksen首相が堂々と反論したこと」について、ドイツのメディアも好意的に報じています。

ドイツ・デュッセルドルフのカーニバルでメルケル首相のモノマネをする男性たち、2014年
写真=iStock.com/Lux_D
ドイツ・デュッセルドルフのカーニバルでメルケル首相のモノマネをする男性たち、2014年

気に入らない女性の「容姿を批判」

国を問わず一部の男性に「女性が自分の好みの容姿ではないと、あれこれ言いたくなる」習性があるようなのです。「あの女性、気に入らないな」と感じると、その女性の容姿をけなすという行動もよく見られます。筆者はかつてSNSでいろんな人といろんなテーマについて議論を楽しんでいましたが、そんな時にどこからか突如「黙れ、ブス」「お前のようなイモ女はドイツに帰れ」といった内容のリプライが来ることがありました。

後者の「イモ女」のくだりに関しては、筆者が出身のドイツの主食は確かにジャガイモなので「うまいこと言うなあ」とちょっぴり笑ってしまいました。でも本当は笑っている場合ではありません。筆者はSNSに顔写真をあげているのに対し、「イモ女」と書いた(男性だと思われる)アカウントはいわゆる匿名アカウントで、本名はおろか顔写真も載っていません。自分の情報を全く出さないのに、こちらの容姿をけなすのは許されない行為だと思い、筆者は「次回はご自身の顔写真を添付の上ご返信ください。きっとキムタク並みに容姿が優れた方なのだと想像します。お写真、楽しみにしております」と返信しました。以来、何のリアクションもありません。