「中国はもう融資してくれない」

一方、中国からの新規融資は、延滞が報じられるより前から先細っていた。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニングポストによると、アマエチ氏は2022年2月、アブジャ―カノ間とポートハーコート―マイドゥグリ間の2路線の建設が遅れている理由をこう説明している。「中国はもう融資してくれない。だから欧州で資金を探している」。

同年10月には、後任のムアズ・サンボ運輸相(当時)も同じ問題に触れた。同氏によれば、中国は2路線の事業費の85%を融資することで合意していた。ナイジェリアは中国の建設会社との契約に従い、自国負担分の15%を支払った。ところが、事業の開始から1年以上たっても、中国の金融機関は融資を実行していないという。

中国側にも事情があった。一帯一路のもとでアフリカのインフラに巨額の融資を重ねてきた中国輸出入銀行などの政策銀行は、新型コロナで深刻化した各国の債務問題を受け、融資に慎重になっていたと、同紙はアナリストらの見方を伝える。米シンクタンク、スティムソン・センターの孫韻氏は、「債務の持続可能性がすでに危うい国には、中国は財布のひもを締めた」と述べている。

習近平国家主席も2021年11月、北京で開かれた一帯一路のシンポジウムで、海外協力では持続可能かつ生活を向上する「小さくて美しい」事業を優先すべきだと述べた。巨大なインフラ事業から距離を置き、小さくても採算の取れる事業へと軌道修正する姿勢がにじむ。

ナイジェリアと中国の旗
写真=iStock.com/Oleksii Liskonih
※写真はイメージです

安全なはずの鉄道路線が命を危険に

路線を立て直すには、一体どれほどの資金が要るのか。デイリー・トラストの取材に応じた運輸省の関係者は、約50億ナイラ(約6億円)が必要だとみる。ニンギ氏は上院で、フル稼働時には月に約18億ナイラ(約2億1600万円)の収入があったと述べた。立て直しの費用は、その3カ月分に満たない。

最大都市ラゴスにある鉄道公社の倉庫には、機関車がもう1両、使われないまま眠っている。この路線に回す案も出ていたが、政治的な後押しがなく、承認は得られていないと、先の運輸省の関係者は明かした。

道路での誘拐を恐れる人々の頼みの綱として開業したアブジャ―カドゥナ鉄道は、脱線の傷を応急補修で済ませたまま、同じアシャム駅の付近で事故を重ねてきた。運賃収入で借金を返す構想はつまずき、中国からの新規融資も先細った。

安全な移動手段を確保するはずだった路線は、脱線事故や衝突事故で、かえって人々の命を危険にさらしている。

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