「人手不足倒産する」の悲鳴

「移民受け入れ反対」の声が強まる中で、外国人労働者に依存している零細工場や店舗などの現場からは、「このままでは人手不足倒産する」という悲鳴が聞こえる。高市早苗内閣はいったい、日本の外国人政策をどこへ持って行こうとしているのだろうか。

参院本会議で代表質問を聞く高市首相=2026年10月9日午後
写真=共同通信社
参院本会議で代表質問を聞く高市首相=2026年10月9日午後

これまで現場の人手不足を補ってきた技能実習制度が2027年4月に廃止される。「発展的解消」として新たに「育成就労制度」に移行されることが法改正で固まっているが、3年間の移行措置があるので、完全に技能実習制度が無くなるのは2030年になる。

これまで技能実習は日本で技術を学び自国に持って帰るという「国際貢献」が理由だった。もっともこれは「建て前」で、実際には日本の現場の人手不足対策として機能してきた。

新たに導入される「育成就労」という新制度では、さすがに「建て前」はやめ、人手不足への対応として、「人材育成・人材確保」を目的としている。「本音」で制度設計している点は外国人労働者受け入れに前向きに対応しているように見えるが、一方で、新制度を事実上の「移民」だとして反対する動きが根強くある。

なぜ、技能実習制度が廃止されることになったのか。まずはそこから振り返っておこう。

失踪者が大きな社会問題となった

実は、技能実習生の「失踪」が相次ぎ、問題になっていた。出入国在留管理庁の統計によると、2023年1年間で9753人もの実習生が職場から消えていたのだ。技能実習生は途中で勤務先を変えることができなかったため、低賃金や過酷な労働、ハラスメントなどが横行し、耐えきれずに逃げ出す実習生が多くいた。これが大きな社会問題となり、技能実習制度への批判となっていた。

一方、技能実習生は、送り出し国側の業者などに多額の手数料を支払うため、来日前に多額の借金を背負っているケースが多くある。その返済を進めるために、よりたくさん稼げる職場に移るために失踪する例も多くあった。また送り出し業者側が、いったん在留許可を取ってしまえば、良い仕事に移れると言って勧誘していたケースもある。

外国人労働者を受け入れる会社は、こうした送り出し業者や仲介業者にひとり50万円から100万円の手数料を支払っていることも多く、働きの悪い外国人にパワハラを働く温床にもなっていた。