日本語能力検定試験で一定レベルが必要

こうした借金で身動き取れなくしたうえで、ひとつの会社で過酷な労働をさせる技能実習制度については国際的な批判の的にもなっていた。米国国務省の人身売買に関する報告書で「強制労働を含み、最低基準を満たしていない」という批判をされたこともあり、日本政府は制度の廃止を決めたわけだ。

現在は悪徳業者が排除されたこともあり、失踪者は大幅に減少した。

こうした批判を浴びてスタートした新制度では、一定の条件を満たせば本人の意思で職場を変えることを可能にした。また、技能実習制度では求めていなかった日本語能力についても、就業開始前に日本語能力検定試験でN5(A1)レベル以上が必要とされた。ちなみにN5は日常会話の初歩のレベルだ。

働き始める段階でN5に達していない場合、100時間の講習を受けなければならない。また、N5に達して働き始めた後も、3年後までにN4程度に引き上げる必要があり、雇用した企業が100時間程度の講習を提供する必要がある。

「育成就労、受け皿乏しく」――日本経済新聞の10月6日付け朝刊1面にこんな記事が掲載された。

記事では「日本語学校の受け入れ可能人数が7500人程度であることが分かった」とし、「年15万人が来日し働きながら日本語能力を高める理念が揺らぐ」と制度自体が機能するのか、危惧している。特に現状で外国人労働者が多い愛知や埼玉、千葉で日本語を教える教員が不足しているという。

ひらがな
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12万人に日本語教育が必要な状況

では就労目的で日本にやってくる人材の日本語力はどの程度なのか。記事によれば、国際人材協力機構(JITCO)の調査で、「来日時にN5以上に達していた実習生は2割弱だった」としている。つまり、15万人来日するとして、12万人に就業開始前の日本語教育が必要になると試算できるわけだ。

日経新聞のこの調査の解答率は高くないとはいえ、日本語学校だけに日本語教育を頼る前提では「育成就労」自体がたち行かなくなることがはっきりしている。かといって、なし崩し的に日本語能力の乏しい外国人を受け入れれば、受け入れ企業での仕事に差し支えるだけでなく、地域社会とのトラブルなどにつながり、育成就労制度自体に反対する声が高まることになりかねない。