「事実上の移民」として反対の声
実際、育成就労制度を「事実上の移民だ」として反対する声が根強くある。
というのも、技能実習制度では在留期間は最長5年としていて、期間終了後に帰国することが前提だった。ところが、新しい育成就労制度では、原則3年としながらも、その後、「特定技能」という在留資格に移行することが前提になっている。特定技能には1号と2号が存在するが、1号に合格するための条件が、一定の専門技能と日本語能力を持つこととなっていて、日本語検定試験N4以上に合格することを求めているのだ。特定技能1号は期限1年で、通算で上限5年まで在留できる。
さらに特定技能2号という資格があり、これに認められれば、在留期間の上限がなくなり(一定期間ごとの更新は必要)、要件を満たせば、配偶者や子どもの帯同が可能になる。移民反対派が育成就労は事実上の移民につながると批判しているのは、特定技能への移行が前提の制度になっているためだ。
「対象外」になる仕事がある
人手不足に喘ぐ現場が困惑しているのは、技能実習では受け入れを認められていたのに、育成就労では認められない業種があることだ。
前述のように育成就労制度は、特定技能1号への移行が前提となっているため、特定技能制度で認められている17の産業分野に限られている。現状では例えば、一般家庭用のクリーニング店の作業や、空港のグランドハンドリング職、ボイラーメンテナンス職などは対象から外れると見られている。
クリーニングでも工場でのリネンサプライなどは特定技能だが、小規模な街のクリーニング店の作業は対象にならないと見られている。
2008年の年末に、リーマンショック後の「派遣切り」などで職や住まいを失った非正規労働者らを支援するために「年越し派遣村」というのが東京の日比谷公園に設置された。そこで、クリーニング工場を営む社長が臨時に雇用することを決めて実際に10人ほどの日本人が工場で働いたが、数日で全員が“失踪”したという。猛烈な熱さの中での重労働に耐えられず辞めてしまったわけで、日本人が嫌ってやらない重労働を外国人が支えているケースも多い。この手の大きな工場はリネンサプライ業の範疇に入るとみられるが、すでに外国人なしでは営業できない業種も増えている。

