気楽にすごす一番の方法は「現状肯定」

あるがままを受け入れる、すなわち現状肯定は、将来に対する覚悟さえ備わっていれば、今を有益に気楽にすごす一番の方法だと言える。

もちろん、現状肯定にも悪い面はある。向上心をなくすこと、努力をしなくなること、進歩もなくなり、問題も解決されないことだ。現状を改善する努力をしなければ、差別やイジメもなくならず、戦争の危機への備えや、平和維持のための活動も弱まる。環境保全も滞り、プラスチックゴミ問題や地球の温暖化も放置され、次の世代に禍根を残すことになる。

海外では戦争が継続中で、住む家を失った人、家族をなくした人、将来の夢を失った人もたくさんおり、病気や飢えに苦しむ人も少なくない。現状肯定ではそれらの人々が、見捨てられたのも同然となる。

だから、問題解決の意識は持たなければならないが、情報から目を逸らさないこと以外、実際的な行動に結びつけることはむずかしい。できるのは、せいぜい身近な問題の解決だろう。

現状肯定は満ち足りた者の発想で、自分さえよければいいのかという批判を招くかもしれないが、欲望を抑えることには役立つはずだ。

現状を肯定して、老化予防の努力もせず、健康診断も受けないで、寝たきりになったらどうするのか。寝たきりはやっぱりイヤだろう。だから、最低限の努力はするという人もいるかもしれない。

太陽と男性
写真=iStock.com/kimberrywood
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祖父は13年、父は1年半寝たきりだった

私はそんな努力はしない。あるがままに生きるのがいいと思っている。

それでも覚悟だけはしている。祖父も父も最後は寝たきりになったので(祖父は13年間、父は1年半)、自分も寝たきりになる可能性は高いと思っている。

だから、しょっしゅう寝たきりのシミュレーションをしている。朝、目が覚めたとき、身体を起こす前に、「寝たきりになったら、このまま身体が起こせないんだな」と思い、しばらくその状態をリアルに想像する。

あるいは昼間にソファで横になったときにも、寝たきりになった自分を想像して、どう思うだろうかとリハーサルをする。

健康診断とか、がん検診を受けずにいたから、寝たきりになってしまった。もっと健康に注意しておけばよかった……。ああ、こんなふうに、寝たきりになるとわかっていたら、動けるときにもっといろいろなことをしておけばよかった……。

とは、たぶん思わないと思う。健康診断やがん検診を受けないのは、時間を取られるのがイヤで、症状もないのに検査をするのは無駄だと思うからだ。当然、そのため病気の発見が遅れて、寝たきりや進行がんになる可能性があることは、覚悟している。だから、「受けておけばよかった」とは思わないだろう。

寝たきりになってからいろいろしておけばよかったと思わないために、できるかぎりのことを、今しているのだから、やはり「もっとしておけば」とも思わないだろう。