LINEで「山に行きます」だけでは不十分
「家族がいないから無理」ではなく、できることから始めよう。
対策の基本は2段階だ。まず「気づいてくれる人」をつくること。そして、その人に「位置情報や捜索の手がかり」を預ける。この順番でひとつずつ整えよう。
対策①見守りをしてくれる人を見つける
遠方に暮らす親や兄弟でも構わない。登山のオンラインコミュニティで知り合った仲間でも、ヤマレコで交流している人でも構わない。ビジネス上のやり取りがある人でも、家事代行サービスのスタッフでも、定期的に顔を合わせる機会がある人なら、「あの人がいない」と気づける存在になりうる。
大切なのは、その見守りをしてくれる人と登山の計画を共有することだ。普段から行き来があるなら、紙に印刷した計画書を自宅のテーブルの上に置いておくだけで十分だ。オンラインであれば、メッセージアプリで計画を送り、出発前に「今から行きます」と伝えることが大切だ。
対策②下山連絡システムを使う
コンパスの登山届システムやヤマレコの下山連絡システムには、緊急連絡先が登録できる。登山計画がメールで共有され、本人が下山連絡をシステムに入力すると、見守る相手に「無事に下山しました」と連絡が届く。下山連絡がなかった場合は「連絡がないので本人に確認してください」という旨のメールが自動で届く。
LINEで下山連絡を送る方法もあるが、LINEでは「連絡がない」という通知は来ない。見守る人が気づく必要がある。下山連絡システムは、連絡がないことを通知してくれる点が、LINEとの大きな違いだ。できれば下山連絡システムを使い、LINEはその補完として併用するとよい。
登山者の位置がわかるサービスがあれば安心
対策③見守りサービスを使う
ヤマレコのアプリで登山をしている場合、見守る側には「いまココ」アプリを入れてもらうことで、登山の開始・終了時に通知が届き、圏外でない場所では位置情報もリアルタイムで更新される(ただし機内モードでないことが前提)。同様の見守り機能はYAMAPやココヘリにもある。
見守り役がいれば、どのサービスでもよいので必ず位置情報を共有しておきたい。Appleの「探す」やGoogleの位置情報共有機能を日常的に使っていれば、登山が終わって帰宅中なのか、まだ山にいるのかを把握してもらえる。
対策④圏外でも通信できる環境を用意する
この対策は、本人に意識がある場合に限られる。しかし自分から救助要請ができるという意味では、他の対策と組み合わせることで生存確率を大きく上げられる。
iPhoneには衛星経由の緊急SOS機能が搭載されており、圏外の場所から直接救助機関に要請できる。Garmin inReachは衛星通信対応のデバイスで、電話回線に依存せずにメッセージの送受信と位置情報の共有ができる。Starlink Directは、スマホから直接Starlink衛星に接続し、家族などへのメッセージ送信を可能にするサービスだ。これらを使えば、圏外で、かつ本人が動けない状態でも家族にテキストでSOSを送り、警察につないでもらうことができる。
