「山に行く」だけではどこの山かわからない
【リスク因子・中】家族に伝えたつもりの人
「週末に○○山に行くよ」と口頭で伝える。LINEでメッセージを送る。
山に行く人にとっては情報を共有しているととれるが、コミュニケーションはキャッチボールだ。情報を渡したつもりでも、相手が受け取っていなければ伝えたことにならない。
「いつ下りてくるか」を伝えていないケースも多いし、そもそも相手が聞いていなかったり、LINEの履歴に埋もれて見落とされたりすることもある。「山梨の山に行ってくる」と言うだけでは、どの山に行ったかわからない。実際に、ヤマレコへの位置情報提供の依頼が入ったときに「どの山に行ったか正確にわからない」という事例は少なくない。
別のパターンもある。予定どおり1泊2日の縦走をしているのに家族は日帰りだと思い込んでいて、1日目の夜に「帰ってこない」と遭難騒ぎになることがある。
出発前にきちんと計画を伝え、相手から「わかった」と確認をもらう。これだけで行き違いは防げる。登山計画書を紙に印刷して家に置いておく、あるいはメッセージアプリで計画を共有したうえで「読んだよ」という返信をもらう。そういうやり取りをひとつ加えるだけでいい。
「週明けの月曜日」に気づかれるのでは遅い
【リスク因子・中】一人暮らしの会社員や学生
独身や単身赴任で一人暮らしをしている会社員や学生が「帰ってこない」と気づかれるのはいつか。
週末に山に入り、そのまま連絡が途絶えたとして、最初に異変に気づいてもらえそうなのは週明けの月曜日に出社や登校をしなかったときだ。連絡なしに姿を見せないことを不審に思った上司や同僚、友人が「もしかして山の事故では」と思ってくれれば、その時点で救助への動きが始まる。
ここで重要になるのが、「登山が趣味だと周りは知っているか」だ。突然の無断欠勤と音信不通が重なったとき、「山に行ったのでは」と周囲が考えてくれれば、警察への相談は早まる。そうでなければ、自宅を訪問し、警察経由で大家立ち会いのもとで室内に入り、ようやく事態を把握する、という手順を踏むことになり、救助が始まるまで日数がかさむ。
土曜日に山に入って動けなくなった場合、最短で月曜日、つまり2日後に初動が始まる計算だ。それ以上かかることも十分ありうる。
