タバコとネコ
今回のダークホースとなったのは「ヤニ(タバコ)」である。すなわちMembers数が3.5倍まで膨れ上がった「ヤニねこ」、そして「スーパーの裏でヤニ吸うふたり」(ヤニすう)である。特に「ヤニすう」は、ここまで抑揚のない日常アニメがトップ3に入り込んだことは記憶にない。Members数で25万超え、堂々第3位に入っている。
「ヤニねこ」から見ていこう。
これはScore 7.0という数字からも分かるように、評価のわかれる作品だ。めちゃくちゃ低評価ではないが、上位にくるアニメにしては低い評価といえる。
海外ファンのコメントを見ると、「喫煙、飲酒、そして人生を破滅させるあらゆる悪徳に耽ることを視聴者に思いとどまらせる、驚くほど不快なネコアニメ。」「人の下品さに弱い人は、見ない方がいい! 見ないで! このアニメは子供向けでも家族向けでもない。」「うんち、嘔吐物、お尻に関するジョークが満載です。」と本当に上位5位とは思えない評価が並ぶ。それでも、だ。不思議なことにコメントとは対照的に「おすすめする」を指定しているユーザーが並んでいる。
「ヤニねこ」は、動画配信サービス「ニコニコ」で配信している2026年夏アニメ全作品(無料・有料作品含む)の初速ランキングで1位だった。
人間と獣人が共存する街を舞台に、タバコと酒とダラけた生活を愛する主人公・ヤニねこを描く。全12話を通して、金なし・生活力なしのヤニねこが、ヤクねこやハメねこ、アルねこといった“クズ”の仲間たちとボロアパートで繰り広げる、モラル皆無でシュールな日常アニメだ。すべてのネコ(化した女性たち)がなんらかの「中毒」を患っている。
海外ファンによる「下品、退廃」への評価
本作の作者は「にゃんにゃんファクトリー」という3人組の集団だ。3人が持ち寄りでSNSに自主制作のイラスト・漫画でUPしていた。
猫というカモフラージュによって、「中毒性のなかで自堕落に生きる姿」はある程度中和されており、数コマでオチまで完結させる短尺モノにもかかわらず2023年からコミカライズされ、そして2026年7月にバイブリーアニメーションによってアニメ化が実現した。
興味深いコメントを紹介しよう。「ユーモアは非常にドタバタで、脚本はウィットに富み、シナリオは非常に奇抜です。健全な日常系アニメというよりは、トムとジェリーに近い感じです。」「好色な大家と、ひどいジョークを連発するセクシーな猫を除けば、登場人物は誰一人として普通ではない。でも、そもそも普通って何だろう?」
時に退廃性は人を安心させるのだろう。
この下品さ退廃さは自嘲的な欧米ユーザーの心にもしっかり刺さっている。この作品も香港では香港政府衛生署の指導によって途中で配信停止になっている。

