がむしゃらに働いているのに小遣いはごくわずか。妻と子どもはそっぽを向き、老親の介護も。こんなに苦しいのに誰もわかってくれない――。ベストセラー『考えない練習』で読者から圧倒的な支持を得た名僧が、あなたの日頃の迷いに対して、考え方の筋道をわかりやすく説く。

「居場所がない」のはご自分のせいです。もともとは「この人といると居心地がよい」と感じて結婚したのでしょうから、結婚当初は居場所があったはず。ただ、ある時期から夫婦のどちらかが、自分は相手に配慮しているのに、相手が同じように配慮してくれないと感じだすことが、居場所のなさを生じさせます。

人は、自分が10の度合いで配慮していて、相手が7しか配慮してくれないと思うと、自分の価値が下がるような気がするもの。「自分は3ほど損をしている」と感じて、相手への配慮を減らしたくなります。ウエットにいうと「自分のほうがより愛情を注いでいて、相手からはそれほど愛されていない」と感じる。自分は「もっと愛情が欲しい」と思っているわけですが、欲しいものが手に入らないのはくやしいので、「自分はそもそもそれを欲しいとは思っていない」という気持ちに変えてしまいます。こうして相手への愛情を切り下げてしまうのです。

自分のほうが「より配慮してもらいたい」「より愛されたい」と思うのは「慢」の煩悩ですが、相手にも同様に「慢」の煩悩があります。自分が相手に対する配慮や愛情を減らすと、相手も減らすようになり、いわばダンピング合戦になってしまう。結果、自分も相手も双方が「居場所がない」と感じることになります。

(構成=岩原和子 撮影=若杉憲司)
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