小さな興味、引っかかりをつくる

振り返ると、それは良い違和感だったのだと思います。

当時の企業キャラクターは、親しみやすく、かわいらしいものが主流でした。企業のイメージを良くするための存在ですから、それは当然です。だからこそ、ブルブルくんは異質でした。

見た瞬間に意味がわかるわけではない。でも気になる。なぜか目が止まる。もう一度見たくなる。私はそこに価値があると思ったのです。

人は見慣れたものには反応しません。しかし、少しだけ予想を超えるものに出合うと立ち止まります。

「これは何だろう」「なぜ気になるのだろう」

その小さな引っかかりが、人の記憶に残ります。そして記憶に残るものは、人に語られ、少しずつ広がっていくのです。

もちろん、インパクトを与えられればなんでもいいわけではありません。今はSNSの時代で、過激な発言をすれば注目を集めることもできます。炎上を招けば話題になることもあります。

しかし私は、それを目指したいとは思いません。一時的な注目と、長く愛されることはまったく違うからです。私がキャラクターにしろ、商品にしろ、大切だと思うのは、人を無理やり驚かせることではありません。

「これってなんだろう?」という、人の心の中に、小さな興味、引っかかりを残すことです。そして、もう1つ大切なことがあります。

ダウンロード版のように改善を続ける

実は、最初のブルブルくんは今とは少し違います。今のほうがずっとかわいくなっています。なぜなら、お客さんの反応を見ながら、少しずつ改良を重ねてきたからです。

私は商品も企画もダウンロード版のように改善を続けることが大切だと考えています。ブルブルくんも同じでした。

最初から完成していたわけではありません。「かわいい」と言う人もいれば、「怖い」と言う人もいました。その反応を見ながら少しずつ育ててきたのです。

もし最初から誰の心も動かさなかったら、改善することすらできなかったでしょう。私は、人の心が動くものからしか、新しい価値は生まれてこないと考えています。

まずは立ち止まってもらうことです。興味を持ってもらうことです。

その小さな感情の動きがインパクトになり、反応を生み、改善につながり、やがて長く愛されるものを育てていくのです。