「ラッシー」とは一体何なのか
日本で味わえるインドの飲み物といえば、「ラッシー」もおなじみです。砂糖などで味付けされたヨーグルト由来の飲み物で、インネパ店(ネパール人が経営するインド料理店)ではナンとカレーのセットドリンクに高確率でラッシーが入っています。
スパイスで火照った口をさわやかな甘さのラッシーでさっぱりさせる。そんな光景が、日本全国のインド・ネパール料理店でおなじみとなっています。ただしインドでは、こうした光景はほとんど見られません。
ラッシーの原型は、農村部で牛や水牛の牛乳からヨーグルト(ダヒー)を作る際に生じるホエー(乳清)に砂糖や塩、ハーブなどで味付けした飲み物だといわれます。
インド人は総じて乳製品をよく摂りますが、とりわけヨーグルトは単体で食べるだけでなく、ギーやマッカン(発酵バター)などの原料になるため日常的によく作られ、ホエーも身近な存在だったのでしょう。
本場ではカレーと一緒に飲まない
こうした農村の日常に根ざした“残渣汁”が、いつの頃からかヨーグルトそのものを使い、甘みなどでおいしさを強め、おしゃれな器に注いで街なかで商品として売られるようになって、そちらが「ラッシー」として広まっていきました。
さらには、インド国外のインドレストランなどでもそれが取り入れられ、食中に料理と一緒に飲むものとして洗練されていきました。
現在、日本で広く飲まれる、さらさらで甘酸っぱくカレーやナンに合うヨーグルトドリンクは、こうした経緯から生まれた“進化版ラッシー”ともいえます。
一方、インドの街なかで売られているラッシーは、日本のものとは異なり、それ単体でデザートドリンクとして売られていることが大半です。
したがって、食事と一緒に飲まれるようなものではなく、カレーのセットドリンクで付くようなこともありません。外国人向けのレストランならともかく、インド人向けの一般的な食堂には、そもそもラッシーがメニューにすらないことも多々あります。

