AIを使っている人に「そんなものに頼っていては…」はダメ

たとえば、生成AIの普及に不安を感じている人がいるとする。若手社員が自然にAIを使いこなし、資料作成や情報収集のスピードを上げている。それを見たとき、最初に浮かぶ思考は、「自分はもう時代遅れなのではないか」「若い人たちにはかなわない」「これまでの経験は意味がなくなるのではないか」といった恐れかもしれない。

このとき「脅威の認知」に飲み込まれると、人は防衛的になる。AIの話題を避ける。若手のやり方を否定する。「そんなものに頼っていては本質的な力がつかない」と距離を置く。しかしその反応の奥には、「自分の価値が失われるのではないか」という不安がある。

マインドフルネスは、この反応に気づく余地をつくる。「いま、自分は脅威を感じている」「若手と比較してあせっている」「自分の価値がゆらいでいるように感じている」。そう気づけたとき、反応と自分とのあいだに少しだけ距離が生まれる。その距離があると、次の選択肢が見えてくる。

「まず一度、若手に使い方を聞いてみよう」「自分の経験とAIを組み合わせたら、何ができるだろう」「全部を理解しようとしなくても、まず一つの業務で試してみよう」。このように、外部に起こる変化は同じでも、それを「自分を脅かすもの」と見るのか「新しい可能性を探るきっかけ」と見るのかで、次の行動は大きく変わる。

AIによって統合されたシステムでデータ分析をするビジネスマン
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変化を制御するのではなく、内側の認知を整える

異動や昇進も同じだ。新しい部署に移ったとき、「これまでの自分は通用しない」と感じるかもしれない。しかし、その不安に気づけると、「ここでは何を学べばよいのか」「誰に助けを求めればよいのか」「これまでの経験のどの部分は活かせるのか」と問い直すことができる。

「認知が変わる」とは、無理に前向きになることではない。不安をなかったことにすることでもない。不安に気づいたうえで、変化に対する見方を少し広げ、次の一歩を選び直せるようになることだ。

このタイプの不安からのシフトは、外側の変化を制御することではなく、マインドフルネスなどの実践によって、内側の認知を整えることから始まる。