自分より年下の社員や後輩がAIを使って効率的に仕事をしているのを見て「自分はもう通用しないのか……」と悲観的になったことはないだろうか。多摩大学MBA客員教授の荻野淳也さんは「その時に一番やってはいけないことは、若手のやり方を否定したり、AIから距離を置いたりすることだ。自分の脅威を認識し、向上の機会ととらえることができればどんな時代の変化にも対応できる」という――。

※本稿は、荻野淳也『仕事人生を後悔しない メンタルづくりの教科書』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです。

書類の海で頭を抱える男性
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時代の変化が生む「俺なんてもう通用しない…」の感情

「自分がこれまで積み上げてきたものが、急に通用しなくなった」

そう感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。

AIの浸透をはじめとした急速な変化によって、昨日まで強みだったはずのスキルや経験が、ある日突然、陳腐化したように感じられる。その不安は、単なる「スキル不足」の問題ではない。誰もが感じる変化への本能的な脅威から生じているものであり、自己防衛本能が正常に作動しているとも言える。

しかし、確実に変化する外部環境の中で、どうすればいいのか。時代の急激な変化の中で、自分のアイデンティティそのものがゆらぐ感覚を、多くのビジネスパーソンが感じているだろう。

このタイプの不安は、変化という外側の条件によって生じているように見える。しかし実際には、変化そのものより「変化を脅威としてとらえる認知のパターン」が不安の源だ。同じ変化の中でも、それを脅威としてとらえる人もいれば、探索の機会としてとらえる人もいる。その違いを生むのが、認知能力だ。

人間は変化を脅威ととらえる生き物

このタイプの不安からのメンタルシフトは、新たなスキルを急いで習得することでも、人脈を広げることでもない。まず「変化を脅威としてとらえているオートパイロット」に気づくことから始まる。

マインドフルネスの実践は、その気づきを育てる。「通用しなくなった」という思考が浮かんだとき、それに飲み込まれるのではなく、「そういう思考がいまここにある」とただ観察する。その一瞬の距離が、固まった認知のパターンを変える出発点になる。

変化は止まらない。しかし、変化の中で「いまここで何が起きているかを、ありのままに見る」力を育てることで、変化への向き合い方そのものが変わっていく。