※本稿は、荻野淳也『仕事人生を後悔しない メンタルづくりの教科書』(NewsPicksパブリッシング)の一部を再編集したものです。
時代の変化が生む「俺なんてもう通用しない…」の感情
「自分がこれまで積み上げてきたものが、急に通用しなくなった」
そう感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。
AIの浸透をはじめとした急速な変化によって、昨日まで強みだったはずのスキルや経験が、ある日突然、陳腐化したように感じられる。その不安は、単なる「スキル不足」の問題ではない。誰もが感じる変化への本能的な脅威から生じているものであり、自己防衛本能が正常に作動しているとも言える。
しかし、確実に変化する外部環境の中で、どうすればいいのか。時代の急激な変化の中で、自分のアイデンティティそのものがゆらぐ感覚を、多くのビジネスパーソンが感じているだろう。
このタイプの不安は、変化という外側の条件によって生じているように見える。しかし実際には、変化そのものより「変化を脅威としてとらえる認知のパターン」が不安の源だ。同じ変化の中でも、それを脅威としてとらえる人もいれば、探索の機会としてとらえる人もいる。その違いを生むのが、認知能力だ。
人間は変化を脅威ととらえる生き物
このタイプの不安からのメンタルシフトは、新たなスキルを急いで習得することでも、人脈を広げることでもない。まず「変化を脅威としてとらえているオートパイロット」に気づくことから始まる。
マインドフルネスの実践は、その気づきを育てる。「通用しなくなった」という思考が浮かんだとき、それに飲み込まれるのではなく、「そういう思考がいまここにある」とただ観察する。その一瞬の距離が、固まった認知のパターンを変える出発点になる。
変化は止まらない。しかし、変化の中で「いまここで何が起きているかを、ありのままに見る」力を育てることで、変化への向き合い方そのものが変わっていく。

