労働者を置き去りにした民主党
2025年11月、民主社会主義を前面に掲げ、ニューヨーク市民の圧倒的な支持を得て当選したマムダニ市長は、こう説明する。
「ニューヨーク市民のみならず、アメリカ国民全体が新しいタイプの政治を渇望しているのだと思います。それは、労働者を中心に据える政治です。あまりに長い間、我々(民主党)は、労働者階級や生活困窮層の期待に十分に応えられてきませんでした。(中略) そこで、急進左派の候補者たちは労働者に語りかけるキャンペーンを展開しています。人々に今、どんな気持ちかを聞くと、彼らは毎日、毎週、毎月、やりくりに疲れ切っています、しかも事態は悪くなる一方だと言うでしょう。今、全国的な危機なのです。我々は長い間、政党として現政権に反対するだけで、その意思を示せませんでしたから」(ABCジス・ウィーク、2026年6月28日)。
つまり、これまで民主党の主流派はトランプ政権への批判に終始するあまり、物価高に苦しむ人々に有効な救済手段を打ち出せてこなかった。そのため、イラン戦争や物価高への失策によりトランプ大統領の支持率が過去最低水準に落ち込む中、民主党はその受け皿として支持を伸ばすことができなかった。つまり、トランプ大統領の不人気を、民主党の追い風にすることができずにいたということだ。
資本主義を支持するZ世代はわずか9%
そんななか、急進左派の候補が「労働者のために戦う政治」を強く訴え、若年層や生活困窮層を中心に支持を広げ、主流派の候補を次々と破っているのである。
実は、急進左派が若年層の支持を集める背景には、現行の資本主義体制に対する不満や疑問、否定的な認識が存在すると考えられる。
CBSニュースが8月半ばに行った世論調査では、30歳未満(Z世代)の米国人の間で資本主義に対して否定的な見方をしている人が41%にのぼり、65歳以上の27%、45歳~64歳の32%を大きく上回ることがわかった。同様に30歳未満で資本主義を支持する割合はわずか9%にとどまり、65歳以上の33%や45歳~64歳の23%と比べて大幅に低い水準となっている。
この調査は全米各地で民主社会主義者の勝利が増えていく中で発表されたが、アメリカ民主社会主義者(DSA)のアシク・シディク全国共同議長は、「この結果は全米各地の地域社会で起きていることを裏づけています。つまり、Z世代は社会が大きく変わることを強く望んでいるということです」と述べた(The Hill、2026年8月21日)。
DSAは、労働者中心の民主的な社会を目指す米国最大の社会主義組織であり、格差是正や国民皆保険、公立学校の無償化などの政策を掲げている。

